Love D-Rive【Kaz・N】 (ページ10)

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「A、今日終わり何時？」

「今日は8時の予定です。」

「あー俺その時間だと迎え間に合わないわ」

ごめんなってこっちに少し視線をくれる。

「大丈夫ですよ。バスもまだある時間だし」

ほんとは何で？って理由が聞きたい………

でもそんなこと聞いたら鬱陶しいって思われそうで聞けなくて

二宮さんだってお友達と会ったりいろんな用事があるよね

私の都合でそれを邪魔するなんてできない。

「今日さ、高校の時の友達の結婚式で披露宴と2次会が午後からあるんだわ」

………あ、そっか。

二宮さんの年齢考えたらそういうお友達いるよね。

「大丈夫ですってば。ちゃんと帰れます」

心配性だなーって笑う

「んじゃあ、家に着いたら電話することな。」

「うん、電話するね」

こうやって心配してくれるのが嬉しい

大事にされてる気がするから。

そんなことを話していたらいつの間にか車は塾の近くまで来ていて

ハザードを付けて車を停めてくれる

「ありがとうございました」

「ん、気をつけて帰れよ。電話忘れずに」

はーいって言って車を降りる。

おひさまはまだ高いし、塾の前だからいつものおまじないが無いのを寂しく思う

そんなこと思う私はヤラシイのかな。

でもほんとはもっとそばに行きたいんだもん

そんな気持ちを隠して二宮さんの車を見送って

ため息をついてから勉強の殿堂へ足を踏み入れた。

高3ともなると勉強は大変で

でも目の前の問題にぎゅっと集中しているといろんなモヤモヤを忘れることができる。

色んなことを考えちゃまずいと思った今日はあえて時間がかかる微分に手を伸ばす

もともとそんなに理系の頭ではないのでじっくり考えて

まっ白だった紙に順に数式を書いていって

キレイに答えが出たときは気持ちがいい

数学は好きだなーとこんな時思う。

暗記科目だと二宮さんどうしてるんだろうとか

いまごろお友達とおしゃべりしてるのかなとか

綺麗な女の人いるんだろうなとか考えちゃって

頭に記憶したいものが入っていかないから今日は手を付けないでおく。

受験は辛くて

沢山のプレッシャーややらなければいけないことの多さにたまに泣きたくなる。

今日も少し前に受けた模試の結果を見て落ち込んだ。

偏差値は上がってはいるけど第一希望の大学にはまだ足りなくて

センターまであと100日無いのに・・・

もう無理かも

そんな落ち込みそうな気持をできるだけ抑えて数式を書き続けた。

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