検索窓
今日:45 hit、昨日:58 hit、合計:330,877 hit

16 ページ19

(藍沢side)


聞こえる電子音が容態の安定を知らせている。


───まだ気は抜けないが、とりあえず大丈夫だろう。


そう判断し振り向くと入口のドアがちょうど開き、スーツ姿の男性が入ってくる。




「どうかされましたか?」

「橋爪悠斗の父です。祭りの、事故の…」



だから顔面蒼白なのか。


納得し、父親をICUへ招き入れる。



「悠斗くんの治療を担当した脳外科医です。ろっ骨が折れ、肺に出血があります。頭蓋骨の中に血の塊があり、危険な状態だったので手術です取り除きました」

「そうですか……」



安静第一のため、金具で固定されている手足。

包帯だらけの頭部。



「痛かっただろ。痛かったよな。なんでこんな…ごめんな悠斗。お父さん、一緒にいてやれなくて…ごめん…」



唯一なにもされていない右足に触れ、謝り続ける父親を見守るしかできないが、

なにか、と思いイスを勧める。



「すみません……。ここにいてもいいんですか?」



面会時間はとうに過ぎている。

だが、



「いてあげてください。目が覚めたとき、一人じゃ不安でしょうから」



ここで叩き出すほど酷なことはないだろう。

イスに腰かけたのを確認して再び容態の確認に戻る。



「約束してたんです。今日だけはって。でも急に仕事が入って…いつもそうで……。仕事って言われるたびに悠斗は……口では平気なこと言ってたけど、寂しい思いしてたんだろうな…。ごめんな…。仕事なんて行かなきゃよかった」



父親の言葉にふと思い出す。


───そんなことはないだろう。


脇に置いた所持品の袋から紙切れを取り出して差し出す。



「───バカだな……いつも言ってるのに。俺はまだ駅員だよ」



『お父さんみたいな駅長さんになりたい』


子供らしいつたない字に声を詰まらせる姿に声をかける。



「───目が覚めたら、教えてあげてください」



何度も頷く父親に早く意識を戻さないものかと心から思った。

17→←15



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (142 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
673人がお気に入り
設定タグ:コードブルー , 藍沢耕作 , 山下智久   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

時雨(プロフ) - 姫乃さん» 全然大丈夫ですよ(^^)ありがとうございます!ほんとうに応援コメント嬉しすぎます!!!これからも頑張るのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月3日 23時) (レス) id: b12319ed65 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - cometさん» 応援のコメントありがとうございます(^^)嬉しいです!これからも頑張るのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月3日 23時) (レス) id: b12319ed65 (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - すみません!先ほどのコメントは付いていない方がでしたいいと思います!と書いたつもりだったんですが間違えてました。アンケート終わっているのにすみません。 (2018年9月3日 22時) (レス) id: 7fe36c8cdf (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - 私も名前付いてた方がいいと思います!この作品大好きです!これからも応援してるので無理のないペースで頑張ってください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 7fe36c8cdf (このIDを非表示/違反報告)
comet - 名前なんですが、今のままでいいと思います!展開が分からないわけでもないので大丈夫だと思います!!いつも楽しませてもらってます!更新頑張ってください!ずっと応援してます! (2018年9月2日 21時) (レス) id: fcd67c983f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:時雨 | 作成日時:2018年8月30日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。