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(緋山side)
「なっが。白石って無駄にスタイルいいよね」
『それ着ていいよ』
数分前に白石から借りたスウェットの裾をたくしあげながら医局に入る。
「結局、ここ泊まんの?」
あたしに気づいた藤川が振り向いてそう一言。
手にはものが乱雑に詰まったカバン。
「あんたは帰るんでしょ」
「あぁ帰りますよ。もう目が限界だっつーの。カルテ整理したくたって文字が読めねぇよ!」
じゃあな〜と言い残して出ていく藤川。
フェロー達のデスクを見れば綺麗に片されたデスクが3つ。
「フェローも帰ってんの?腹立つわー」
自分達の方に目を向ければ藤川は帰ったつーのに汚いわ、
あたしの隣のAのデスクは彼女がいない間に積まれたのであろう書類やらなんやらで山積みだわ、
藤川の隣ひとつ空けた白石のところも本、書類、本の山。
まぁ自分のデスクも人のこと言えないくらい汚いけど。
「Aもいないわけ?あーーーー」
癒しがいないことに脱力してソファーに寝転がる。
───なに。ここがあたしの生活拠点になるわけ?
最悪。
「すみません。小児科の村野ですが」
もう一度文句を言おうとしたとき、若い看護師の姿が。
「なにか?」
「橘先生はいらっしゃいますか?」
起き上がって尋ねれば控えめにそう言われる。
───橘先生?
デスクに目を向ければ椅子にかかったスーツが。
「───まだいると思うんですけど。・・・今はいないですね」
「佐藤先生からこちらの検査結果、急ぎでお渡しするように言われたんですけど……」
「あ、じゃあお預かりしますよ。電話してみます」
橘先生の検査結果?
不思議なに思いながらもファイルを受け取り携帯を取り出す。
コール音を聞きながら何気なく書類に目を落として見えた患者名は橘先生のものではなく。
『三井先生がいなくなったら、私が来たところで今の救命の状況は変わらないですよね』
『ごめん……』
反射的に切った電話と思い出された朝の会話。
記されていた名前は『橘優輔』
───私は、バカだ。
頭で考えるよりも先にファイルをデスクに置いて医局を飛び出した。
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時雨(プロフ) - 姫乃さん» 全然大丈夫ですよ(^^)ありがとうございます!ほんとうに応援コメント嬉しすぎます!!!これからも頑張るのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月3日 23時) (レス) id: b12319ed65 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - cometさん» 応援のコメントありがとうございます(^^)嬉しいです!これからも頑張るのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月3日 23時) (レス) id: b12319ed65 (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - すみません!先ほどのコメントは付いていない方がでしたいいと思います!と書いたつもりだったんですが間違えてました。アンケート終わっているのにすみません。 (2018年9月3日 22時) (レス) id: 7fe36c8cdf (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - 私も名前付いてた方がいいと思います!この作品大好きです!これからも応援してるので無理のないペースで頑張ってください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 7fe36c8cdf (このIDを非表示/違反報告)
comet - 名前なんですが、今のままでいいと思います!展開が分からないわけでもないので大丈夫だと思います!!いつも楽しませてもらってます!更新頑張ってください!ずっと応援してます! (2018年9月2日 21時) (レス) id: fcd67c983f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作成日時:2018年8月30日 12時