長編4 ページ4
「私は仕事で家に居ることが少ないんだけれどもごめんなさいね。週末は帰るようにしてるんだけれど...主人もそんな感じだしあんまりお気になさらないで。じゃあ、そろそろ行くわね。」
『あ、はい!』
「週末はおうちに帰ってもいいし、もちろんこの家に居てくれてもいいのよ。これ、一日にお願いしたいこと。」
そう言って、綺麗な文字が並んだ便箋を頂いた。
『分かりました!お気をつけて行ってらっしゃいませ。』
「うふふ、そんな畏まらなくていいのよ?行ってきます。よろしくお願いしますね。」
そう言って、恵理子さんは出ていった。
恵理子さんを見送ったあと頂いた便箋を見れば、食事の用意、掃除、洗濯、とごくごく一般的な家事の内容ばかりで胸をなでおろした。
庭園の水やり、生活備品の在庫確認、発注、なんかもあったがそこまで難しくないだろう。
なんとかやっていけそうだな、と思いながら早速洗濯に取り掛かる。
今日は勝利さんは大学だし、夕ご飯まで何もいらないはず。
早めに掃除を終わらせて、水やりもして、ちょっとでも美味しいご飯(そもそも料理は好きじゃない)を作って待ってよう、と意気込みながらお昼ご飯の牛丼(吉〇家)をかき込む。
掃除に取り掛かってみたのだが、いかんせんこの家は広い。
広いお庭、広い室内、数が多いバスルームトイレ。こんな必要ある?とか思ったけれど、これが所謂金持ちの世界なんだ、と自分を納得させ手を動かす。
なんとか日用品の在庫確認やら発注やらの業務を終え時計を見ればもう5時。
『やっば...晩ご飯作らなくちゃ!』
とりあえず何か作らねば、と冷蔵庫の中身を確認してみる。
『え、待って、何も無いじゃん。』
驚くぐらいに食材がない。かと言って買いに行くのも時間がかかる。
もうすぐ勝利さん帰ってくるはず。
どうしようかと一瞬頭を悩ませていると、玄関からがちゃりと音が鳴る。
『え、やば...帰ってきた...』
まじか、まじか。
とりあえず出迎えに玄関へと向かうが、なんて言い訳しようかな、と考えてはいい案が思い浮かばず、そうこうしているうちに玄関で靴を脱いでる勝利さんと対面する。
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作者名:まぁ | 作成日時:2018年8月10日 18時