メイド様とご子息 (ページ1)

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住居とは思えないほど大きな門構え。
綺麗に手入れされた庭木。
色とりどりの花。

そんな豪邸に、私は今日からメイドとして給仕する。

私〇〇Aは、何となく大学を卒業して、やりたいことも特に無いから、フリーターとして働きながらゆっくり見つけていけばいいや、なんて呑気に思っていた。
そんな矢先、

「あんた！メイドなんてどうよ？」

『は？メイド？』

バイトが終わって家に帰ればかなり興奮気味の我が母。
メイドってなに？如何わしいの？なんて構えて一応話を聞く。

何やらそのメイドとやらの詳細を聞けば、住み込み、月給30万円、週休二日制(毎週二連休で外泊もOK)、実家から近い、主な給仕対象は21歳のご子息、及び家庭内の給仕全般、というなんとも好条件に好条件を重ねたような内容である。

『お母さん、これ詐欺じゃない？』

「違うわよ！お友達とランチしてたら、そのお友達のお友達がメイドさんを探しててね。成人してて、それなりの根性がある子いないかしら～、なんて言うからあんたどうかしら、と思ったのよ。」

『まぁ、詐欺じゃないなら条件も悪くないし、その話受けてみようかな。」

「ほんと？いいご家族さんみたいだし、お金持ちだけれども気取ってないみたいよ。まだやりたいこと見つからないなら是非一度、奉公させてもらいなさいよ。」

『奉公って...江戸時代じゃないんだから。」

なんて、あの時はけたけた笑っていたが、これから先あの時の能天気に笑っていた自分を殴りたくなることになるとは知らなかった。