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宏太は少し困った顔をしていた。





でも、しょうがないじゃん。

どうせ振られるって分かっているのに、
聞く人なんていないよ。





「侑李、聞いて。お願い」

「やだ」

「俺は、」





それでも引き下がらない宏太。

僕だって引き下がる気なんてなくて。





「やだって言ってるじゃん!さっきのは…気の迷いだよ」

「そう!気の迷いだから…!!」





気の迷いなんて、ほんとはそんなことないのに。

でも、もうこれ以上傷つきたくない。

尚も宏太が続けようとするから、思いつきの言葉でその場をしのごうとした。





それなのに…

「それ、お前本気で言ってんの?」

「え?……本気だよ」

そう言えば、呆れた顔をして、僕を薄っぺらい胸に押し付けた。





「はぁ…」

「何さ」

「俺は、お前が好きだよ」


「え…?」


「だから、お前のこと好きだって」





入ってきた言葉は、余りにも現実味がなくて。

何の反応もできない。





そんな僕に、宏太はいつもの行為でするようなキスじゃない軽いキスをした。

触れるだけの温かいキス。

目頭が熱くなる。

僕は気を抜いてしまえば、
今にも涙が落ちてしまいそう。





こんなにも優しいキスははじめてだった。

さらに言えば、こんな恋の幸せなんて知らなくて。





幸せ。

だけど、だからこそ夢想なんじゃないかって。

今までの行為みたいな白昼夢なんじゃないかって、不安になる。





−−宏太。僕は幸せになるのが怖い。





僕は、少しひらいた宏太との距離を詰めるように、
目線を上げた。

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トルタ(プロフ) - ぽいさん» 更新も遅く、伝わりにくい文章ですがぽいさんにそう言っていただきとても嬉しく思います。コメントありがとうございます。 (2017年4月27日 19時) (レス) id: f2950f8700 (このIDを非表示/違反報告)
ぽい(プロフ) - 言葉選びが繊細で、トルタさんの人柄が手に取るように分かります...応援してます (2017年4月20日 20時) (レス) id: 97be06f220 (このIDを非表示/違反報告)
トルタ(プロフ) - A-yuy-Aさん» 自分の趣味程度の拙い文章ですがA-yuy-Aさんにそう言って頂きとても嬉しい限りです。ありがとうございます。 (2017年2月13日 23時) (レス) id: 2320849466 (このIDを非表示/違反報告)
A-yuy-A(プロフ) - こんにちは。切ない気持ちの表現とか、文章とても好きです。更新楽しみにしています。頑張って下さい。 (2017年2月13日 10時) (レス) id: 4b9d5955f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トルタ | 作成日時:2017年2月12日 22時

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