二月の勝者-絶対合格の教室-【4】 (ページ22)

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佐倉「ん...？」

これ...パラパラ漫画...？

佐倉「石田くん...橘先生」

橘「ん？」

佐倉「これ石田くんのノートなんですけど..」

橘「えっ？これ、俺？」

橘先生は興味津々の様子で石田くんのノートを受け取り、ペラペラとページを捲り始めた

石田くんがノートの隅に描いていたのは怒り顔からニッコリ笑顔に早変わりする橘先生のイラストだった

橘「ははは、何だこれ...」

佐倉「あ！このノート、石田くんに返さないといけなかった...」

橘「うん...あっ、じゃあ俺が届けてくるよ」

佐倉「お願いします」

橘「うん」

橘先生は嬉しそうに小走りで石田くんにノートを届けに行った

side 橘

佐倉先生から王羅のノートを受け取り講師室を飛び出すと、ちょうどエレベーターからゲームをしながら王羅が出てくるところだった

橘「王羅！」

石田「あっ、橘先生！いっけねぇ、間違えて4階来ちゃった」

橘「そうだよ、今日からお前は5階だからな？」

石田「いけねえ、いけねえ」

橘「ホントお前は大物になるよ...はい、宿題ノート」

石田「ありがとう！」

橘「いいか、5階に行ったら勉強頑張るんだぞ？俺は見てるからな」

石田「はいはーい、じゃあねー！」

王羅はエレベーターのボタンを押し乗り込むと最後にいつもの笑顔を見せて言った

石田「バイバイビー！」

ったく、ホント可愛いヤツだな...

頑張れよ、王羅

side 佐倉

夜10時前の講師室

保護者面談予定のΩクラス島津くんの母親の姿は未だ塾になかった

黒木「もう10分も過ぎてますね。島津さんのご両親の面談時間、何の連絡もありませんか？」

佐倉「はい...」

この間、島津くんが失踪した時の母親に手をあげようとする父親の行動と母親の怯え様...

お世辞にも円満の家庭環境には思えなかった

佐倉「こちらから電話してみましょうか...」

黒木先生にそう言った時、講師室の電話が鳴った

佐倉「はい、桜花ゼミナール吉祥寺校です」

島津母「あの...島津順の母です」

電話越しの母親は鼻をすすり、涙声だった