無理しないで ページ30
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…猪原side…
結局、Aちゃんが目を覚ましたのは日付が変わろうとしていた頃。
病室の窓から細く柔らかい月明かりが差し込んでいる。Aちゃんの横にぶら下がる、点滴を変えている時だった。
「ん…」
小さくうなりながらAちゃんが目を開ける。
「あら、ごめんなさい。起こしちゃったかしら。
Aちゃん、大丈夫？」
起き上がろうとする彼女をそっと支える。
「…猪原さん、あたし」
「飛華流ちゃんの処置の途中に倒れちゃったのよ。
睡眠不足と、精神的ショックね」
「精神的ショック…
あ、そ、それより飛華流は！？」
血相を変えてAちゃんが腕にしがみついてきた。腕を握る強さが、どれほど飛華流ちゃんを心配しているかを伝えてくる。
「大丈夫、何とか今は落ち着いているわ。
…あ、そうだ。Aちゃん、これ、外山先生から」
小さな可愛らしい巾着袋を手渡す。数時間前、再びここを訪れた時に渡されたものだ。
「せい兄から…?」
「お父さんの代わりに来てくれたの」
「なにこれ、飴…?せい兄らしくないなぁ」
くすりと彼女は笑う。袋の中からはカラフルな小粒がいくつも出てきた。
深呼吸をして、口を開いた。
「……お話、全部聞いたわ」
「あたしの、昔のことですよね？」
「ええ。…ごめんなさいね、勝手に」
「そんな、全然。あたしの方こそご迷惑おかけしました。明日からはしっかり勤務します」
そういうも、彼女は変わらず顔色が悪い。受け答えはしっかりしているけれど、体調はあまり回復していないだろう。
「無理しなくていいわ。ゆっくり体調整えることが大事だもの」
「もう元気ですよ！だって半日以上寝てますよ！オペももうすぐだし」
にっこりと満面の笑みで頷くAちゃん。きっとこれ以上言っても聞かないだろうなぁ…。
「…とにかく無理はしないこと。とりあえず朝までは点滴打っとくから、ゆっくり休んで」
「…分かりました！」
空になった点滴を抱え、病室を出る。
はぁ…
ついつい大きなため息が出る。
飛華流ちゃんの状態はきっとAちゃんが思っているほど良くはない。
オペもかなり難しくなっている。…だけど、今、それを言えなかった。
言ったら、彼女にどれだけ大きな負担を与えるか分からない。
今は休むことだけに集中してほしい。
これ以上彼女が苦しみませんように、と願いながら、暗い廊下を歩き、医局へ戻った。
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あーたん - 完結おめでとうございます。私も医龍の小説を占いツクールで書かせていただいていますが、小学生なので医療用語あやふやで、文章力もよくないです・・・。Mariさんの文章力の良さ、うらやましいです＾＾ (2015年11月22日 12時) (
レス) id: 5f4dd0772a (このIDを非表示/違反報告)
Mari(プロフ) - 柴崎 彼方さん» コメントありがとうございます。私も日代先生、書いてて楽しかったです（笑） (2015年5月2日 20時) (レス) id: 3f7c5b2923 (このIDを非表示/違反報告)
Mari(プロフ) - みかづきさん» コメントありがとうございます。次回…あるかわかりませんが、そのときはよろしくお願いします(*^^*) (2015年5月2日 20時) (レス) id: 3f7c5b2923 (このIDを非表示/違反報告)
柴崎 彼方(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いやー、日代先生よかったです♪笑 (2015年4月29日 15時) (レス) id: b228346365 (このIDを非表示/違反報告)
みかづき(プロフ) - 完結おめでとうございます。次回作を楽しみにしています (2015年4月27日 16時) (レス) id: 63313e013c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mari | 作成日時：2015年3月26日 15時
