姉貴カノジョ tn.Ver ページ35
あいつの行く道には、いつも黄色い声が上がる。
兵の心高鳴らせ、看護婦の眼差しを独占し、
そして、最凶の幹部でさえも震え上がらせる。
赤いヒールを鳴らして、鋭い瞳で前だけを見つめる、彼女は
完璧と呼ばれた、俺の姉。
「おい、鬱いるだろ、」
談話室で俺と話していた、大先生はビクリと肩をはねらせた。
談話室の重い扉が開いて、赤の瞳がこちらを見やる。
「書類を出せと、何か月も前から言ってるよな？」
「違いますねん姐さん、深い事情が」
「締切は明日だよな？お前はミスが多いから早めに出せと何度も言ってるよな？そもそもギリギリにやるからミスが増える。」
「……すんません」
「姉さんごめんな、俺気づかんくて、終わってるもんやと思ってたわ。今からやらすから」
「ありがとうなトン、お前がおらんかったら私は務まらんわ。」
「いやいや、ええんやで」
「ちゃんとやれよ鬱」
「はひ……」
元々背の高い姉がヒールを履けば、背を追い越せるのは幹部の中でも数名、高圧的に見下す目は本当に冷たい。
「しっかりしてくれや大先生。」
「トンちゃん手伝ってぇ」
「お前がやれや」
その日の夕方。
夕飯ができたので、姉の部屋に呼びに行く。
ノックをしても出ない、仕事に集中しすぎているのか、もしくは
「開けるで姉さん」
ドアを開けても部屋はくらくて何も見えない。部屋に1歩踏み出せば、ぐちゃぐちゃの衣服、それもそこらじゅうに、
姉は完璧に見せる反面私生活ではだらしがない。
何とか足の踏み場を見つけてベッドに行ってみるもいない、それならばとソファ、いない
部屋に居ないのかと困り果てていると、寝息が聞こえる。
あ、いた
脱ぎ捨てた衣服に包まれるように埋もれていた姉を見つけた。
仕事着のまんま倒れるように寝ていた。
「何徹目やねん」
「5徹あけ、」
「おきたん？」
「まだ寝たい」
半身を起こした姉はまた解けるように俺に体重を乗せてくる。
どんなに男勝りでも、その身体は軽く、華奢で、脆い
あの日俺はこんなか弱い人に守られていたのかと思うと、悔しくて……
「いい子、トンはいい子やね。」
「姉さん」
後頭部を優しく撫でられる
「トンは泣かなくていい子やね。」
「姉さん、俺はもう子供やないて」
「私が生きてる限り、トンは私より年下の子供や」
「そんな悲しいこと言わんで」
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ケントゥム - 憑き物って「トワイライトプランク」ですよね！！気付いたときめっちゃくちゃ嬉しかったです！！ (2022年7月22日 10時) (
レス) id: 3dc9f6a52b (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 紅覇さん» ありがとうございます！ (2020年5月2日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
紅覇 - 悲しすぎて胸の奥がキューってなりました。これからも頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 6f781d8dfc (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 雪鈴さん» これが書きたくて仕方なかったので長くなってしまいました (2020年5月2日 13時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
雪鈴(プロフ) - ……鬱先生、哀しすぎる…ついウルッと来てしまった…｡ (2020年5月2日 13時) (レス) id: 19448fa7ba (このIDを非表示/違反報告)
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