ヤンデレカレシ tn.Ver ページ12
従事系
彼は私に何もさせてはくれない。
同棲を始めた頃は普通だった。たまたま包丁で指を切ったあの日から彼はどこか狂ってしまっていた。
包丁を握ることはもちろん許されず、お風呂や排泄も1人ではさせてくれない。
出かけるなんてもってのほか、私が何かしようなら彼は血相を変えて怒り、どうしてもと言えば彼が代わりにやってしまう。
最近はさらにエスカレートし、テレビも危険だとみせてくれず、本は彼が読んだことあるもののみ。
私が彼以外に会えるのは病気のときの医師のペ神のみ、彼は男にしか興味が無いからとか
そのため彼はかつての仲間でさえも私たちの家に招かなかった。
ある日彼が仕事中に私が風邪をひいてしまって、ペ神を呼んだ時のこと。
｢君は彼の束縛から離れたくないのか？｣
｢え？｣
診察中にペ神は私に問いかけた。
｢トントンの君に対する束縛は異常だ。君に何もさせないなんて。おかげで君の筋力は衰え始めてる。近いうちに歩けなくなる。そうなったらトントンからは逃げられない。だから今のうちに逃げるべきだ。｣
｢逃げる？｣
過保護すぎるとは思っていたけど、逃げるなんて考えたことは無かった。
特に暴力も振るわれてないのに、悪いことしてない彼から逃げるなんて考えてなかった。
｢君はもっと自由であるべきだよ。｣
ペ神は手を差し伸べる。私にもかつてはあった自由という言葉に惹かれて私はその手を取ろうとした。
だけど、刹那、ペ神の淡い青は彼の赤に塗り替えられる。
｢え？｣
｢ペ神なら大丈夫やおもたのに。｣
｢なんでトントン…｣
｢言わなあかんやろ？風邪ひいてたら。心配で戻ってきたんや。｣
｢でも、トントンに電話して…｣
｢全部聞いとったんよ。Aが俺の知らんところで怪我せえへんか心配で、｣
｢嘘…｣
震える。なぜ？彼は私を心配して、ちがう私を留めるために、なんで、ダメ逃げなきゃ。逃げたらトントンが、どうしようどうしようどうしよう
私の体は動いていた。
足の力は上手く入らず這うように窓に向かう。
｢どこ行くん？そっちいったって無駄やで。｣
｢はぁ…はぁ…｣
這いずって這いずって、窓に手をかけ立ち上がりカーテンをあけた。
｢え？｣
そこには何重にも重ねられた鉄格子と、およそ50階相当の高さにあるであろう部屋。
そして、焼けた野原
私がここに隔離されてる間、世界に何が起きたのか。
私がいるのは日本なのか
私が絶望に染まれば、彼が抱きしめてベッドに私を戻した。
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ケントゥム - 憑き物って「トワイライトプランク」ですよね！！気付いたときめっちゃくちゃ嬉しかったです！！ (2022年7月22日 10時) (
レス) id: 3dc9f6a52b (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 紅覇さん» ありがとうございます！ (2020年5月2日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
紅覇 - 悲しすぎて胸の奥がキューってなりました。これからも頑張ってください！！ (2020年5月2日 14時) (レス) id: 6f781d8dfc (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 雪鈴さん» これが書きたくて仕方なかったので長くなってしまいました (2020年5月2日 13時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
雪鈴(プロフ) - ……鬱先生、哀しすぎる…ついウルッと来てしまった…｡ (2020年5月2日 13時) (レス) id: 19448fa7ba (このIDを非表示/違反報告)
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