年下カレシ em.Ver ページ7
最初はただの生徒だった。
文系なのに、生物環境学なんて理系科目をとる子なんて珍しかったから。
だけど誰よりも熱心に勉強し、誰よりも多くの質問するこの生徒は、きっと生物が好きなんだと、分かった。
私はある日、彼を研究室に呼んだ。私の悪趣味だと言われたコレクションや、趣味の本を見せた。
目を輝かせ、羨ましがってくれたのは初めてだ。
私は嬉しくて、聞かれるがままに私の知識のすべてを注いだ。
今日は何を話そうかと、研究室で待っていると、彼は一冊の本を持ってやってきた。
簡易なテーブルにその本を広げると、とても楽しそうにその本の中身を話し始めた。
この虫がどのように素晴らしいか、
この虫がどのようにしてこの進化を遂げたか
論文が書けるほどの話を私に聞かせてくれた。
私は驚いた、こんなにも生物を愛してくれる子がいるのかと。
突然はっとし、落ち込んだ彼に、私は思わずこう言葉にした。
「エーミールさんは虫がお好きなのね。私は哺乳類のことはわかるけど虫のことはよくわからないわ。」
普通の女性なら引いていたかもしれないだけど私は、その恋にも似た知欲のときめきに逆らえなかった。
「だからもっと聞かせて」
数年後
エーミールさんは珍しいほどスムーズに、学士号をとり、また数年後には現役での修士号、博士号を得た。
誇り高い、私は満足気にお茶を飲んだ。
私はその頃には教授の位を得ていた。
研究室は静かだ。
修士号、博士号を得るには論文が必要なのだが、どれも素晴らしい出来だった。文系だからこその綺麗な言葉遣いと、その熱情が伝わる。そんな論文を彼は書いて、博士号を得た。
私は大学に申し出た。
「エーミールという生徒が博士号を得たと聞きました。彼の論文を見ましたがとても素晴らしい出来です。ぜひ私の助手として学び続けて欲しい、私の研究室への就職を推薦してはいただけませんか？」
エーミールさんは二つ返事だったという。
改めて研究室の一員となった彼は、私に告げたのは、感謝の言葉でも、感激の言葉でもなく、
愛の言葉だった。
あんなに上手に論文がかけるのに愛の言葉はちぐはぐで、彼らしかった。
私はあの時彼がしてくれたように、二つ返事で、
人生の助手になることを許した。
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卍エシラ(プロフ) - ベルギーチョコさん» どこでもいいですよ (2022年2月20日 19時) (
レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - あの、リクエストって最新作の方の短編集にコメントしたほうがいいですかね…？ (2022年2月20日 18時) (レス) id: 1be44ced24 (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» こちらこそ細部まで見てくれてるようでお気遣いありがとうございます。 (2019年12月7日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
赤狩り - 卍エシラさん» なるほど……確かに、そうですね。申し訳ありません。そして何度でも言いますが好きです。好きです(大事なことなので) (2019年12月7日 17時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» そうですねすみません。ですが凶はkrしかかけないので凶とタグ付けるのも少し気が引けます。ですから説明欄にwrwrd＋αとしてkr先生がいますよと書かせて頂きます。検索避けをしていても直接的なタグを付けすぎると検索避けの意味がなくなってしまうんです。 (2019年12月7日 12時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卍エシラ | 作成日時：2019年11月7日 23時
