【wrwrd】我々カレシ【短編集】

年上カノジョ em.Ver ページ6

学パロ

友人の中でも春が来ないと揶揄されてきた私に、想い人が出来ました。

自分でも予想外なことに年上の女性で、驚きました。

しかしあの色香に当てられれば誰もが見惚れる美しさ、熟れた果実というのはまさに彼女のこと。

あなたの声をこんなにまじかに聞けるこの100分は至福のひととき。

私の初めての恋は、生物環境学の准教授。
私は毎日彼女の研究室へ通った。

彼女の素敵なところというのはその知識の深さ広さ、

彼女の研究室にはたくさんの動物標本や剥製、
歴史的文献も多く存在する。
生物生理学、薬学にも長けた彼女の話はいつも興味深いものばかりだ。

あなたの話を聞く度に私の心はあなたに根を貼り離れたくないと時間が経つのを拒む。

私が理系だったならもっと長くの時間を過ごせたと思うと、自身のポテンシャルを恨むばかりで

それでも彼女は私に良くしてくれた、実験の手伝いや観察にまで参加させてくれた。

感謝の気持ちを込めて今度は私の知識を披露することにした。

しかし、私熱中するあまり気づかなかった。私が一方的に話し続けてることも、その話の内容が、女性には到底理解し難い、「虫」の話だということも。

私はハッとした、春が来なかったのはこういう所だったのかと改めて思う。

私は落ち込んだ、やってしまった。と

すると彼女は予想外の反応を見せた。笑ってくれたのだ。

「エーミールさんは虫がお好きなのね。私は哺乳類のことはわかるけど虫のことはよくわからないわ」

「そうですよね、すみません……」

「だからもっと聞かせて。」

「はいっ！」

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