年下カレシ tn.Ver ページ4
私が入って三年目の入社式の時に目をつけた後輩は、やはり有能だった。
手塩をかけるだけ、それはより熟した実となった。
彼を手放したくなかった。彼を直属の部下に引き上げることは出来たがそれをしたくなかったのは、私が将来独立しようとする時に、引き抜きやすいようにだ。
そして数年の月日を経てようやく決心の時が来た。
引き抜きの交渉は商談とおなじ、今の安定した会社から、
1から立ちあげる会社に移ってもらうには、断れない状況と断れない立場を作る。少し卑怯だけど、それほど私は気に入った。
高い店に、高い酒、そしてあとは私への信頼、彼の人の良さを利用する形でけしかける。
｢私と独立しよう。｣
彼は驚いた目をした、そして、大粒の雫を落とした。
｢なんで、俺なんすか｣
大粒の涙に全てを持っていかれたようにいつもの堅苦しい敬語も取れて、
｢なんでって、私が手塩にかけて育てた後輩は私と共に働くべきよ。｣
｢他にもっといい人がいるでしょうに｣
｢私はあなたがいいのよ。｣
下を向いて涙を拭う彼に、こう続けた
｢さぁ、どうする？｣
｢ついて行きます。｣
その覚悟を見た私は、この店で高い酒を頼んだ。
慌てふためく彼を見て笑みが零れた。
｢部長さん、そろそろやめときーや｣
｢大丈夫〜へへ｣
｢部長さん……｣
｢A、｣
｢え？｣
｢Aって呼んで｣
｢相当酔ってますね。帰りましょう。タクシーで送ります。｣
｢ちょっと、｣
｢なんですか｣
｢私が、あなたの前で酒に酔ってるのよ、いうことがちがうで、しょ？｣
｢は？｣
｢なんて言って欲しいか、これくらい察しなさいよ｣
｢うちに泊まりますか？｣
｢喜んで。｣
年上カノジョ tn.Ver Another→←年上カノジョ tn.Ver
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卍エシラ(プロフ) - ベルギーチョコさん» どこでもいいですよ (2022年2月20日 19時) (
レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - あの、リクエストって最新作の方の短編集にコメントしたほうがいいですかね…？ (2022年2月20日 18時) (レス) id: 1be44ced24 (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» こちらこそ細部まで見てくれてるようでお気遣いありがとうございます。 (2019年12月7日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
赤狩り - 卍エシラさん» なるほど……確かに、そうですね。申し訳ありません。そして何度でも言いますが好きです。好きです(大事なことなので) (2019年12月7日 17時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» そうですねすみません。ですが凶はkrしかかけないので凶とタグ付けるのも少し気が引けます。ですから説明欄にwrwrd＋αとしてkr先生がいますよと書かせて頂きます。検索避けをしていても直接的なタグを付けすぎると検索避けの意味がなくなってしまうんです。 (2019年12月7日 12時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：卍エシラ | 作成日時：2019年11月7日 23時
