バレバレな態度 ページ5
「…え、まさか未だにそのまま放置しちゃってんの?」
私の言葉に半開きの目を丸く見開かせて、旦那は言う。まるで有り得ない、とでもいいたげに。ていうか、何故か私は彼にこんなことを言われなければならないのか、今更ながら疑問に思う。けれど、今から逃げようにも、恐らく逃がしてはくれないだろう。きっと、地平線の彼方まで追って来るはずだ。それも面倒なので、私は小さく小さく頷いた。
それをみてか、旦那は「あちゃー」なんて声を漏らしている。わざとらしく手を眉間に持っていきながら。そんなアクションをしつつも楽しそうなのは駄々漏れであった。隠そうともしていない。
……沖田隊長は、私のことが好き。
彼は私にそう伝えてくれた。私の目を真っ直ぐに見つめて、嘘偽りのない言葉を私にくれた。あの、私への酷い態度ですら、冷たく突き放すような言葉すら、私を護るためのものだったのだ。それほどまでに、沖田隊長は私のことを考えてくれている。それは、虫眼鏡のようなもので覗かなければ分からないような、小さくて、些細なことだけれど。
それでも、もう十分に、彼の気持ちは伝わっている。
けれど、私の、彼に対する気持ちというのは、どうしても見つけることができなくて。
「ま、そりゃそうか。あんなバレバレな態度でも気付かない鈍感ちゃんだもんねぇ」
「…返す言葉もないですけど」
旦那はやれやれ、といった様子で肩を竦め、溜息をついた。私は旦那の顔をチラリと見据え、あの、と切り出した。
「旦那の言う、沖田隊長のバレバレな態度って、どんなでしたか?」
それは、単なるちょっとの興味だった。私はその時気づけなかったけれど、周りからみた、客観的な感じはどうだったのだろうと。旦那はうーん、と思い出すような声を出して、答える。
「たまに、お前らが見回りしてる時に偶然出会したことあるだろ」
「はい」
「で、お前が俺とちょっと話してただけで、明らかに不機嫌になったり、」
お前を絶対に車道側を歩かせなかったり、
街中でお前を見てる野郎がいたら即座に睨み付けてたり。
旦那の口からは、次々と沖田隊長のそんなふとした仕草をが飛び出してきた。そういえば、確かに、と、私は思い出す。沖田隊長は、私が見回りに出ると必ずついてきたし、気付いたら不機嫌になってることもあったし、車道側には、いつも沖田隊長が歩いていた。
「とまぁ、そんな感じ?」
「……そう、ですか」
私が気づけなかった沖田隊長が、こんなにあったなんて。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい!!沖田のツンデレ?感があああああああ!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん!コメントありがとうございます!!面白いですか!私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです!!引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです! (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります!テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん!ありがとうございます!一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます!!長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです!沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください!!頑張らせて頂きます!! (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年12月12日 18時