行き場 沖田side ページ34
『ちょっと……沖田隊長…！！』
『場をわきまえろと以前にも言いましたよね！？』
『……そ、ぅご……さん…？』
……Aが、あんな風に顔をりんごみたいに真っ赤に染めて、戸惑って狼狽えて、困り果てたような声を小さく漏らして、ほんの少し俺に抵抗して見せる姿が、どうしようもなく愛しくて、そんなAを近くで見つめているのが好きだった。そんな顔を俺にだけに見せてくれたらいい。そんな声を、俺だけに聞かせてくれたらいい。そんな、自分勝手で、でも自分じゃどうしようもない想いを、ずっと抱えていた。
…あの顔を見せるのは、俺にだけ。そう、思っていたかった。けれど。
「可愛いなぁ〜とは思うよ？例えば……、
顔真っ赤にさせたところとか？」
……旦那はどうやら、Aのその面を見たことがあるらしく。そんなことに俺の胸は、まるで何者かに容赦のない力で握り潰されたかのように鈍く痛んだ。端的に言って、俺はショックを受けているのだと思う。その顔を、俺以外の誰かに見られたことが。
…そんなん、面白いはずがないだろう。
「あんま、照れてるとことか見せたことなかったのにな。あんな面初めて見た」
「……へェ…」
旦那は、空になったパフェの容器とスプーンをカチン、カチン、と行儀悪く鳴らしながら、淡々とそう口にした。どうやら今の言葉は、俺をからかっているつもりではないらしく、ただ単に旦那自身が思ったことを述べているだけのようだった。感想文のような。それでも、俺は旦那の鳴らすその音が耳に入らないくらいに、どうしようもない、行き場を知らない感情にさいなまれていた。
…ずっと、抱えていた焦りが、ここぞとばかりに俺の中で大きく膨らんでいく。風船のように、今にも弾けてしまいそうなくらいに。これが弾けてしまったなら、俺はどうなってしまうだろうか。
…Aを好きだという感情が、黒い感情に塗りつぶされていくのが、嫌なのに。
「……あれ、沖田くん？」
俺、なんかマズイこと言っちゃった？と、旦那は俺の様子に少し困ったような声を発した。それを誤魔化すように、俺は窓の外に目を向ける。
「…別に…、」
…と。窓の外の景色を目にした瞬間。俺の視界に飛び込んできたのは。
「…え、あれって……」
…楽しげに、並んで歩いている土方さんと、Aの姿だった。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい！！沖田のツンデレ？感があああああああ！！ (2019年8月5日 15時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん！コメントありがとうございます！！面白いですか！私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです！！引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります！テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん！ありがとうございます！一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます！！長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです！沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください！！頑張らせて頂きます！！ (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年12月12日 18時
