しつこい ページ25
…沖田隊長は、しつこい。上司に向かって言っていい台詞だとは思えないため、本人には言っていないが、正直なところをぶっちゃけてしまうと、彼はしつこい。非常に。一度目をつけたならイジリ倒すし、逃がしはしない。オイシイ何かを見つけたら食いつかないはずがない。だから気を抜けないのだ。あの悪意に満ち溢れた笑みを浮かべて美味しく平らげるまでイジリ続ける。なんてタチが悪いのだろう。
…とにもかくにも、彼に絡まれたらそそくさと逃げよう。そうしよう。と、心に決めて私は沖田隊長の部屋の手前で深呼吸をする。ずっとこんな調子じゃ仕事が片付かない。やるべき事柄にも優先順位というものがある。今は何より溜まった仕事をこなさなければならないのだから。しっかりしろ、と自分を奮い立たせるように頬を一度パチンとした。
部屋の襖は閉められていて、その前に歩み寄ると、私はそれに手をかけて馴れた手つきで横にスライドさせて開ける。「沖田隊長、遅くなりました」と。そう言いながら。
「仕事再開させましょう、……か…」
…私は、その部屋に、いるはずだった沖田隊長にそう口にしていた。
…のだけれど。何が起きたのだろうか、そこはもぬけの空で、沖田隊長の姿は何処にもなかった。私はあまりの唐突な展開に口をあんぐりと開けて立ち尽くしてしまう。神隠しだろうか、なんてことをぼんやりと、呆然としながらに思うが、きっとそうじゃない。寧ろ神隠しだったらまだ良かったのに。
「…や、やられた…」
…神隠しなどではない。サボりだ。神に隠された訳じゃない。彼は自分の意思で隠れているのだ。江戸の街の何処かしらに。私は眉間を指で揉みながらに盛大な溜め息つく。なんてこった、と内心で項垂れる。
…山崎さんへの誤解をとくことに躍起になる余り、沖田隊長が居なくなるリスクを考えていなかった。彼を一人にしたらサボりに走ることは目に見えていたはずなのに、迂闊だった。完全に気を抜いていた。自分のどうしようもなさに頭を抱えて泣きたくなる。
「オイ、総悟居るか」
「…副長…」
…と、そこに、紫煙を蒸かしながらに廊下を歩いてきたのは副長で。「奴の始末書が何故か俺への殺人予告だったんだが」と血管を浮き立たせながらにそう言った。どうやら彼は私の知らぬ間にまたそんなことをやっていたらしい。
私は肩を落としながらに彼の方を向く。そんな私を見て、副長は何かを察したらしく。
「…消えたか」
と、神妙な面持ちで問い掛けてきた。
「…消えました」
小さく頷きながら、私はそう返した。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい！！沖田のツンデレ？感があああああああ！！ (2019年8月5日 15時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん！コメントありがとうございます！！面白いですか！私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです！！引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります！テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん！ありがとうございます！一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます！！長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです！沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください！！頑張らせて頂きます！！ (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年12月12日 18時
