回想 ページ23
…ふと、廊下を歩きながらに思い返してみる。
…私と沖田隊長が初めて会ったのは、丁度今から一年前くらいのとある冬で、その日は真選組新人隊士を募るべく面接が行われる日であった。当時は知らなかったけれど、警察庁長官であった松平さんに薦められて私は真選組にやって来たのだ。
…けれど真選組は女人禁制で、それを知らなかった私は局長と副長にその事実をつきつけられて、酷く狼狽えてしまったのだ。けれど、私の熱意を買ってか、二人は特例で、あとは松平さんの何かしらの圧力もあり、真選組の入隊を認めてくれることに。が、そこに沖田隊長は現れたのだ。そして彼は私をこう呼んだ。
『ちんちくりん』と。
その時の衝撃ったらすごかった。初対面にも関わらず、人のことをちんちくりんと言ったのだあの人は。私は今までの狼狽えや緊張を忘れて腹をたてた。そして、食い下がる私に向かって沖田隊長は次に、私に刀をつきつけたのだ。左腰に携えられた鞘から、ギラリと輝く銀色を抜き出して。私は目の前につきつけられたそれを目にして、その時初めて『死』というものを肌に感じた。無機質で冷たい鉄は、あのまま私をなきものに出来たのだ。たった一振り、一瞬で。
…今にして思えば、沖田隊長は私に教えてくれていたのだ。ここ(真選組)ではそれが日常なのだと。死という、一般人からしたら酷く遠いものに感じる出来事が、いつだって隣合わせなのだと。手を伸ばしたらそこにはそんな非現実なものが転がっていて、それはいつでも自分達の命を飲み込もうと待ち構えている。護れるのは、自分の剣だけなのだと。
そして、あの時のそれは、私を護るためのものだったのだということも、私は知った。一人で戦場に乗り込んで、傷だらけになった私を見て沖田隊長は言った。
『こうなんのが、怖かったんでィ』
と。沖田隊長は、私に、戦場に立つべきではないと思っていた。そこに立たなければ、私は『死』を知らないまま、普通に暮らしていけたのだと。そんな当たり前を奪って、非現実に立たせたくなかったのだと。
…私の首につきつけたあの銀色がそういう意味なのだと思うと、また違った思いが芽生えてくる。けれど、もし、その行動が私を拒絶するものではなかったのなら、その時も、私のことをただ想ってくれていたなら。
(…あれ…？)
…本当の本当に沖田隊長は、いつ私のことを好きになってくれたのだろうか。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい！！沖田のツンデレ？感があああああああ！！ (2019年8月5日 15時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん！コメントありがとうございます！！面白いですか！私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです！！引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります！テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん！ありがとうございます！一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます！！長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです！沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください！！頑張らせて頂きます！！ (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年12月12日 18時
