無実です ページ22
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『お願いです山崎さんお願いですからさっきのことは忘れてください!!!』
ホントに何でもないんです!!信じてください私は無実です!!、と。まるで取り調べを受けている重要参考人のような言葉を並べては部屋の隅っこでブツブツと何かを呟いていた山崎さんにそう懇願して、誤解を解いた(?)後。私はトボトボと肩を落として廊下を歩いていた。足取りは非常に重かった。まるで足に鉛でもくくりつけられているような。
…山崎さんに必死に弁解を繰り広げた後。
『だ、大丈夫……そんなことだろうとは思ったよ……ウン、ダイジョウブダイジョウブ』
なんて言いながら山崎さんは赤べこのようにコクンコクンと頷いていた。その表情はなんだか悟りを開いたかのような顔をしていて、私を見ているはずの目は私ではない何処か遠くを見つめているようだった。恐らく、いや確実に、彼は大丈夫などではないだろう。けれど、それ以上弁解を続けたとしても『ダイジョウブダイジョウブ』と頷くだけだと思う。少し休ませてあげた方がいいだろうと、一旦引き上げてきたのだ。
…まぁ、山崎さんのことだから、周りに変な風に言いふらすことはないだろうとは思うけれど。山崎さんじゃない、もう少し調子のいい隊士さんに見られていたら、もしかしたら今頃はもう屯所中に私と沖田隊長のことが噂になっているはずだ。それに噂と言うのは尾ひれがつくもので、どんどん曲解されていくものだ。そんなことになったら地獄だな、と思いつつ、沖田隊長の部屋を目指す。
…そう。私の足取りが鉛の如く重いのはそのせいだ。
『好きって言え』
…またああやって迫られるのだろうか、と。そう思うと逃げ出したくなってしまう。はぁぁ……と。盛大な溜め息が廊下に響いては溶けるように消えていく。誰の耳にも聞こえることなく。跡形もなく。
「…そもそも、なんで…」
と、私は呟く。最近は酷く疑問を抱くことが多かった。沖田隊長はどうしてあんな恥ずかしい台詞をあんな飄々と口に出来るのかだとか、私は沖田隊長のことについてどう思っているのかだとか、『好き』とは何なのかだとか。それから今、不意に浮かんだ一つの疑問。それは。
…どうして沖田隊長は、私が好きなのだろう、ということ。
…いつから、私を想ってくれているのか、ということ。
思えばそんなこと、今まで考えたことなかったな、と思う。そこまで考えが回らなかったのもあるけれど。自分のことで精一杯で。
…私には、彼が好きになってくれるような要素なんて、あったのだろうか。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい!!沖田のツンデレ?感があああああああ!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん!コメントありがとうございます!!面白いですか!私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです!!引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです! (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります!テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん!ありがとうございます!一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます!!長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです!沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください!!頑張らせて頂きます!! (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年12月12日 18時