【銀魂】沖田隊長、好きって何ですか？【沖田総悟】

どす ページ16

…私は思う。『脱がしていいか』なんて警察が言っていい台詞ではないと。そして女性に言っていい台詞でもないと。セクハラで今ここで私が逮捕しても誰も責めないと思うのだが、そんなことも出来ないため手錠を取り出したりはしない。『セクハラ容疑で真選組一番隊隊長が、その部下である副隊長に逮捕されました』なんてニュースは死んでも見たくない。

そして、彼は私がその言葉に頷くとでも思ったのだろうか。1%でも頷くと思ったのだろうか。そんなどうしようもない下ネタを真顔で言ってくる辺りが本当に恐ろしい。上司ながら本当に恐ろしい。


「……なー、A脱がしていい…」

「ダメに決まってますよね！？なんで二回言いました！？」


繰り返す必要はありましたか！！と。グリンと顔を彼に向けながら目をクワッと見開かせて言ってやれば、「聞こえてねーのか」と思った、と飄々と返した。こんな静かな二人きりの部屋で、よっぽど耳が悪くない限り聞こえないはずがないだろうに。そんな当然かのように言えるのがまたすごい。


「…どうしたお前、なんか今日変じゃね？今日っつーか最近」

「そんなことないどすよ…！？」

「………どす？」

「……」


…噛んだ。ちょっと有り得ない間違いで噛んだ。どすって言っちゃった。顔を再びうつ向かせて「なんでもないです」とブツブツ呟く。顔が羞恥に赤くなっていくのを感じる。今すぐ穴の中に入りたい。二度と出てきたくない。誰か私を山に埋めてくれ。


「…ホントになんでもないんどすかィ」

「やめてくださいイイイイ！！！」


耳を塞いでそう叫ぶと、沖田隊長はクツクツと笑い声を押さえるように喉の奥で笑っていた。それを横目で睨みつければ、またニタニタとされる。今日も今日とて私に勝ち目はないらしい。


「そんで？どうしたんでィ最近」

「…だから何でもないって…」

「俺に言えないこと？」


…と。沖田隊長は私にずるずると座ったままに近付いて私の顔を覗き込んできた。それに顔を逸らしながら「別に…」と呟けば「エリカ様か」と。


……まぁでも、沖田隊長に言えることではないだろう。


『旦那に私が沖田隊長のことを好きなのではないかと指摘されました』なんて絶対に言えない。そんなことを言ってしまえば大変な目に合うことは容易く予想できる。沖田隊長が「へェ？俺のこと好きなんだ？」と攻めてくるのは目に見えている。それは避けなければならないケースである。

顔が→←コレの

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