コレの ページ15
部屋は暖房で暖まっているものの、軽く冷え性な私の手は冷たい。そんな冷たい手で熱を持った自分の頬に触れて冷ますようにする。気付かないうちにこんな顔になってしまうだなんて、なんていう失態だろうか。そんな私を沖田隊長は相変わらずのポーカーフェイスで見つめている。彼は今何を思っているのだろうか。じーーっと注がれるその視線には無視を決め込みながら、私は意味もなく高鳴り出した心臓を押さえるように深呼吸を繰り返した。
(…これも全部全部旦那のせいだ…!!)
と、私は八つ当たりのようにそう思う。いや、八つ当たりというより、完全に彼のせいなのだけれど。先日、沖田隊長に迫られて屯所から逃げるように飛び出し、見回り(?)がてら江戸の街を歩いていれば、パチンコ屋さんから燃え尽きた旦那に遭遇したのだ。今にも灰になりそうな旦那を目の前にして、哀れみを抱いた私は旦那にココアを奢ってあげた。
そんなこんなで公園のベンチに座り、駄弁っていたのだが。
『もう好きだろ』
『つまり、好きなんだろ、沖田くんが』
『ソイツへの、自分の気持ち?…ってのを何回も考えるってのはさ』
『もう好きってことなんじゃねーの?』
…沖田隊長のことについて相談していたつもりが、旦那はそんな見解を見出だし、そして。見事私を混乱の渦に巻き込んでくれた。すべて旦那のせいである。うん。それしかない。今度あったらとっちめてやる。そう心に誓いながら、冷静になるべく円周率を数え始める。
…確かに、沖田隊長のことばかりを考えていたのは認めよう。沖田隊長への気持ちを何度も何度も自分の気持ちと照らし合わせたのも。沖田隊長は自分が私に『好きだ』と伝えたことを私が忘れていると思ったのか、それとも私がその気持ちに見ないフリしていると思ったのか、この間は「フリでもいいから好きって言え」と嫌でも意識せざるを得ない言葉を口にした。
まぁその目論みは成功し、私は今現在も進行形でその気持ちを意識してしまっているのだけれど。
ーー私は沖田隊長をどう思っているのかーー
それを、考えていない訳ではなかったのだ。彼の気持ちを受けてから、ずっと考えていた。忘れるだとか、見ないフリだとか、そんな彼の気持ちを踏みにじるようなことはしたくはないから。
けれど、それが彼を好きだという理由になるだなんて、ちょっとアバウトすぎやしないかと私は思う。だって。
「なァ、じゃあ腹減ったから脱がしていいかィ」
…コレの何処を好きになれというのだろう。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい!!沖田のツンデレ?感があああああああ!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん!コメントありがとうございます!!面白いですか!私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです!!引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです! (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります!テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん!ありがとうございます!一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます!!長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです!沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください!!頑張らせて頂きます!! (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年12月12日 18時