もう、 ページ11
…旦那はさも当然のことを口にしているかのように自信たっぷりで、簡単な数学の答えをスラスラと解くように私に言う。私が沖田隊長を好きなのだと。その理論が、私にはまったくわからないのだけれど。誰か詳しく説明してくれないだろうか。私の頭には?マークが飛び交い、首をかしげてしまうばかりであった。そんな私を見てか旦那は、「これだから鈍感ちゃんはよォ」とバカにしたように呟く。
「…だって、なんで私が沖田隊長のことを考えているからって、…好きということになるのですか」
…相変わらずだけれど、『好き』とかそういう単語を口に出すのは少々恥ずかしいものがある。ちょっとだけモゴモゴとした口調になってしまうのは不可抗力として許して頂きたい。
そう。だって、そんなのは理由にならないだろうと私は思う。私の頭の中は確かに、沖田隊長に占領されることが多くなった。彼の言葉や行動に目を回して、翻弄されて困り果てて。けれどそれは、私自身がそういった、例えば男性と至近距離になることだとか、そういうことに馴れていないからであって。あとは、
…沖田隊長の『好き』と自分の気持ちを照らし合わせてみたりだとか。答え合わせのようなものだ。
…ただ、それだけのはずなのに。
…どうして旦那はそんな的はずれなことを言うのだろうか。
「…あのさ」
呆れたような、なんだか疲れたかのように溜め息をひとつ溢した旦那は、私を横目に見てから何処か遠くを眺めた。旦那を一瞥して私も視線の先にあるものを見つめてみると、そこにはボール遊びをする子供達が居て。陽太は元気にしてるかな、と思ってみたりして。そうして旦那は続ける。
「…ソイツへの、自分の気持ち?…ってのを何回も考えてるってのはさ、」
「…もう好きってことなんじゃねーの?」
と。旦那はまるで、独り言のようにそんなことを口にした。男の子がボールを投げて、その向こうにいる友達なのだろう男の子がそれをキャッチするのをなんとなく眺めながら、私はその言葉を耳にした。その言葉を頭の中で反芻した後。
「…え、えええ…」
…そんな声を漏らしては、どうしてか顔に熱が集まってきた。そうしてまた、脳内を占領しようと入ってくるのは、彼の意地悪な顔で。彼が私に言った言葉達で。もしかしてこれも、私が沖田隊長を好きだという理由のひとつなのだろうか。
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雨散 - やばいいいいいいいいいいいい!!沖田のツンデレ?感があああああああ!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 理央さん» 理央さん!コメントありがとうございます!!面白いですか!私自身も色々試行錯誤しながら書いているのでお楽しみ頂けているなら嬉しいです!!引き続き少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月25日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
理央 - ものすごく面白いです! (2018年1月25日 21時) (レス) id: 703121ec8e (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - りんさん» 拗らせてます…(笑) シリアス書き出したらやっぱり止まりませんね…この拗らせてシリアスがパァッ、と盛り上がるように頑張ります!テスト勉強は……頑張りたくはないですが頑張ります(泣笑 (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミナさん» ミナさん!ありがとうございます!一番好きだなんて……嬉しいお言葉をありがとうございます!!長ったらしくやっていますが、今後ともお楽しみ頂けたら幸いです!沖田隊長にたくさんキュンキュンしていってください!!頑張らせて頂きます!! (2018年1月3日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年12月12日 18時