ラヴレター─君が遺した日記─

５月31日 ページ28

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──５月31日──


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もうじき


私が終わる


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何故だか解らないけど


はっきりとソレを感じる


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明日の日記は


もう


書けないかも知れない


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この命が消える前に


私には


章くんに


どうしても伝えたいコトがある


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それは


私が章くんと出逢って


恋をして


どんなに幸せだったかと言うこと


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貴方に出会わなければ


私はロクに恋いも知らずに短い命を終えていたでしょう


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それが


貴方に出逢って


恋をして


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恋ってこんなに


楽しくて


嬉しくて


切なくて…


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こんなに愛おしい気持ちになれるのだと知りました


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正直に言えば


貴方と出逢い、恋をしてから


私は急に死ぬことが怖くなりました


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ソレまでは強がりではなく


本当に、何時でも死ぬ覚悟は出来ていたのです


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だけど章くん


死ぬのなんか怖くないと思う人生と


死ぬのが怖いと思える人生の


どちらの方が幸せだと思いますか？


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私は


後者の方だと思って居ます


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本当に、本当に


ありがとう


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後ね


私、章くんに


お願いしたいコトがあるの


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章くん


何時だったか私が


海に行きたいって言ったのを


貴方は覚えていますか


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海って


地球上の七割も占めているのに


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日本は


その海にグルッと一周囲まれていると言うのに


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私は海へ行ったことも


直にこの目で見たこともなかった


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だから、私は


章くん


貴方と一緒に


海へ行きたかった


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きっと


日本に居る限り


行こうと思えば、すぐ傍にあるはずの海


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この地球の


大部分を占めている海


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何処に居てもきっと


海は貴方の近くに有るはずだ


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だからね、章くん


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私を


海へ連れて行って


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そして私は


其処で


その一部になりたいの


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私が海になったら


何時だって貴方が逢いに来れるでしょう？


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だって


海は世界中何処にでも有って


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そして


繋がっている


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章くん


私の最後の我が儘です


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お願い


私を


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海へ


連れて行って下さい


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