15 ページ16
『……その、盗られた書類には、どのようなことが書かれているのですか?』
纏めるのを手伝っている彼女は、もしかしたらあるかもしれないと考え、主人に聞く
神威は焦りの篭った声で「企業情報」と呟いた
『ウチの会社の顧客情報、取引先の情報……
世に知れ渡ったらマズイものまで揃ってる』
天井を仰ぐように顔を上げ、溜息混じりの息を吐く。彼の表情には、疲労が感じられる
Aはそれを、心配そうな目で見つめていた
『流出先がウチだってバレたら、もうおしまい。
信用ガタ落ち。潰れるのも、時間の問題かな……』
『せっかくAを雇い直したのに、残念』
ははは、と乾いた笑いを浮かべる神威に、Aは何も言えずに押し黙ってしまう。
『阿伏兎に連絡してくるよ。
悪いけど、片付けておいて』
『かしこまりました……』
力無く立ち上がり、彼は電話を掛けに行った。
その姿はいつもの自信に満ちた神威の面影すらなく、Aの胸は締め付けられる
『カメラ……』
はっ、と脳内に定点カメラの存在を思い出した彼女は、椅子を持ち上げ、カメラの置いてある棚まで運ぶ
アンティークとして飾ってある置物はカモフラージュとなっており、その兎の目にはカメラのレンズがはめ込まれていた
そこから小さなメモリを抜き取り、自室に置いてあるパソコンに繋ぐ。
ソウゴが餌を欲しそうに鳴くのすら聞こえないほど、今の彼女は切羽詰まっていた
256人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした…!そして素敵な作品を本当にありがとうございました!涙が出てきちゃう程良いお話で、凄く忘がたい作品になりました。完結から長らく経ってしまいましたが、出会えて良かったと心から思います。本当にありがとうございました。 (2022年3月13日 3時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
今日花 - とても良い作品でした。神威が不器用な、けれど優しいところに惹き付けられました。最後は結婚という結果で思わず笑みが溢れます。心に残る作品でした。 (2017年9月19日 18時) (レス) id: 53c7e05c46 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ななさん» ありがとうございます! 大好きとは、勿体無いお言葉!! 神威は難しくて苦戦していましたが、ななさんにそう言ってもらえたので、そんな苦悩は吹き飛びました! コメントと閲覧、本当にありがとうございます( ´ ∀`) (2017年8月12日 10時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 完結おめでとうございます!!とても面白くて素敵なこの小説、大好きです^^これからも頑張ってください!応援しています! (2017年8月6日 1時) (レス) id: f0f39f84a9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - RTtk46NmHahsgrzさん» ありがとうございます! こちらの作品、悩みに悩んで進めて行った作品なので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。いつかまた、読み返してくださるとありがたいです^^ 他の作品も、もし良ければ読んでほしいです! また好きになってくださいな!! (2017年8月4日 10時) (レス) id: 731ff239df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年6月19日 20時