Love*4-26 ページ26
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再演の話を受けてから、数日。
1年半後の話だから、まだ時間はあるし、
正式な発表もまだだから、
なんとなく、誰にも言わず黙っていた。
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ボイストレーニングをまた始めようかな、と考えたり、
マリーが生きた場所に実際に行って
勉強するのも良いかもしれない、と思っていたり。
…後者は実現できるかどうかは分からないけど、
資料を集めて勉強するくらいは、日本でできる。
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地道な小さいものを積み重ねて、
少しでも自信を持ってあの場所に立てるようにしたい。
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ひとりでそんなことを考えながら仕事をこなして、
彼より先に家に帰って、
ご飯を作って待っていたり、待ちきれずに寝てしまったり。
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今日は、起きていた。
日付が変わる少し前に帰って来た彼の方を振り向いて、
おかえり、と声を掛ける。
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「、ただいま」
「お風呂溜まってるよ、」
「うん、」
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ご飯用意するから、その間にどうぞ、
と言って立ち上がる私の肩を掴んで、
翔くんが動きを制止した。
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「っわ…ん？なに？」
「あのさ」
「、うん」
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ゆらり、と私を見つめる大きな瞳が揺れた。
何だろう、と思う。
傷つけたくない、喧嘩をしたくない、
それは、いつだって同じだ。
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「受けたってほんと？」
「…ん？なにを？」
「再演、舞台の」
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あれ…なんで知ってるんだろう。
貰うほどの資料はなかったから、
家に分かるものはないし、ということは
マネージャー経由？黒川さんが言うとは思わないけど。
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「誰から聞いたの？」
「聞いたらまずいことなの、」
「まずくはないけど…」
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なんでそんなに、低い声で
咎めるような様子で言うんだろう、
探るけど、理由がよく分からない。
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「受けたの、って聞いてるんだけど」
「受けた、よ？え…なんで、」
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肯定すると、
私の肩を掴んでいた手にぐ、と力が入って、少し痛い。
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「…へえ、そうなんだ」
「来年の秋ごろの話だよ、まだずっと先」
「秋？秋が一番忙しいだろ、ツアーのリハとかどうすんの」
「…ちゃんとやるよ」
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心配してくれてる？
それとも、興味がないんだろうか、
私は、翔くんに観てもらいたくて、
この話を受けたのに。
彼は、違うんだろうか。
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