Love*4-3 ページ3
(光一side)
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「ねえ、あの部屋使っていい？」
「あの部屋？」
「劇場の傍のさ」
「ああ…そういえば今年まだ使ってませんね、」
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まずマネージャーに話を振って見たら、
その口ぶりからして、
Aが身を寄せていることは知らないらしかった。
…まあ、グループ違うしそこまで情報共有しないか。
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だけど状況はすぐに一転。
事務所に確認したらしいマネージャーが、
「あの部屋今、嵐の工藤さんが住んでるみたいで」と言う。
…知ってる、そんなん。
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「ええ〜？なんで？あいつもう公演終わったから必要ないやん、」
「なんか、謹慎中みたいで」
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あいつ、謹慎もしてんのか。
たかが、1つや2つの記事で？
よわっちぃな。
…ああ、守られてんのか、女の子やし。
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「新しい部屋取りましょうか、って言ってますけど」
「嫌や、俺あそこ気に入ってんの」
「…分かりますけど、」
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立地も良いしセキュリティも良い。
周りは静かで、間取りも広すぎず狭すぎず、気に入っている。
これは、本当だ。
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「つーかAが出て行けば良い話やん…俺が頼んで借りてんのに、」
「…はあ、」
「そう言って？俺は公演が始まる前までにあの部屋に住みたいからA出せ、って。
そんでアイツは元の家帰らせろ、櫻井と住んでんねやろ」
「、わかりました」
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マネージャーが携帯片手に楽屋から出て行ったタイミングで、
俺とのやり取りを聞いていたらしい剛が、呆れたように口を開く。
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「…お前我儘言いなや、」
「我儘ちゃうわ、人助けや人助け」
「あれのどこが人助けやねん、困っとったやんか」
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ふ、と口元を上げて笑うその表情はよく見るそれだ。
コイツも昔は色々あって、それを一番間近でよく見て来た俺は、
参っている様子とか、殻に閉じこもってる感じとか、
そういうのを見ると、どうにかしてやらなきゃ、と思ったりする。
それは、Aも例外なく。
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「Aが参ってたから、助けてやんの」
「ああ…なるほど、」
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話が早い。
剛以外だと通じないってことは、もう嫌と言うほど経験済なので、
お前もたまにはええとこあるなあ、なんて余計な一言を添えていることは気づかないふりをしてやる。
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「王子だからな、俺。姫助けなきゃじゃん？」
「……」
「笑えよ、」
「笑えんわ、何言うてんねん38歳」
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剛が、笑う。
Aも、こんな風に。
色んなものを越えて強くなって欲しい、と思う。
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