Love*4-20 ページ20
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お風呂から上がって、
冷蔵庫からペットボトルの水を取りだして
それを飲みながら彼はソファに座った。
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「それで？何、話って」
「…あの、ね」
「別れ話？」
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ぐさ、とナイフが刺さる音が聞こえる。
なんで、そんなこと言うの。
この前だって、あなたは私に同じことを言った、
別れる？って。まるで、私のせい、みたいに。
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「ちがう！」
「…そう、だったら何？浮気してるって報告？」
「だからっ、」
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泣きたい、だけど泣いたら負けみたいで、泣けない。
そもそも、私は何もしてないのに、
勝手に書かれて、勝手に記事にされただけで。
あれが嘘か本当か、なんて翔くんが一番分かってるはずなのに。
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「あの記事全部嘘だから…っ」
「…そう」
「だって、最初から違ったでしょ？翔くんと付き合ってないって書いてあった、」
「そうだね」
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納得していない、硬い声。
彼は、人一倍警戒心が強くて、
「火がないところに煙は立たない」って考え方をする人だ。
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「浩樹くんとは、舞台終わって連絡すらしてないよ」
「…」
「ましてや会ってなんかいないし！」
「……」
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色のない目が、私を見つめる。
それは、嘘か、本当か、見極めてる目。
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「浩樹くんは、ただの共演者で…」
「…」
「ほんとに、違うの、」
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何も言わない彼に、
どんどん視界が滲んでいく。
泣いたら負けなのに、涙に勝てない。
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「ねえ、浩樹くんとは、ほんとに」
「っるせえよ！」
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何も言わない彼の腕に、
そっと指を伸ばしたら、言葉を遮って怒鳴られた。
びく、と身体が一瞬で動かなくなって、我慢できずに涙がぽろん、と零れるのが分かる。
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「浩樹、浩樹浩樹…、その名前二度と俺の前で呼ぶな！」
「、しょ、く」
「…、頼むから……離れて行くなって…、」
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小さい、消えてしまいそうな声で呟いた彼は、
私の腕を引いて、そのままぎゅ、と抱きしめる。
必死な様子で、私のことを捕まえる彼は、何かに怯えているみたいだった。
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「、俺のこと、嫌いになった…？」
「え？」
「ソイツの方が良い？俺より？」
「しょうくん？」
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指先で、胸元を撫でられる。
当然、そこにいないリングを探すように、
暖かい彼の指先がゆらゆらと彷徨った。
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手が、震えた。
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