Love*4-13 ページ13
(翔side)
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そんなことを考えて、
だけど、とてもじゃないけど本人には聞けなくて。
気づかないふりをして、仕事をこなしていた。
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撮影が終わって家に帰るのは夜中で、
Aはいつもベッドで眠っていたし、
朝は彼女が起きるより早く迎えが来たから話すこともない。
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彼女は、
俺が不安と絶望の中にいることを、知らない。
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そんな日が、1週間ほど続いた日の夜。
いつものように、撮影を終えて家に帰って来たのは夜中で
シャワーを浴びた後、少し台本を覚えようとソファに座った、時だった。
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きらり、と見覚えのあるものが
ローテーブルの上に置かれていて、
腕を伸ばしてそれを手に取る。
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「、これ」
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間違いない、
俺が、彼女にあげたものだった。
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これが、婚約指輪のつもりだって、
Aは気づいているんだろうか。
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"いつか結婚しよう"
それって、プロポーズじゃないんだろうか。
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持ち主に見捨てられたそれを、ぎゅ、と握りしめて
ソファに沈む。
どうして、家の中だけでも、つけないんだ。
どうして。
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「、あぁ、くっそ」
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俺は、この先ずっとAのことを守りたいのに、
どうしてそれが、伝わってないんだろう。
彼女が傷ついたり、泣いたり、我慢したり、追い詰められたり、
そういうのを、全部失くしてやるためには、
どうしたらいいんだろう。
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結婚しよう、って
今すぐにでも一緒になろう、って
そういえば、彼女は頷いてくれるだろうか。
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結婚して、戸籍上夫婦になって、
そうしたら彼女が嫌いな週刊誌にも好き勝手書かれずに済むし、
彼女が苦手な外だって、堂々と一緒に歩いたりできる。
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「結婚」が、
彼女を守るための最良の手段なのであれば、
今すぐにでもそうしたい。
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だけど、彼女の気持ちが
「それ」に向いていないとしたら？
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考えたくないけど、
彼女の気持ちが、俺じゃない誰かに向いているんだと、したら？
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"浩樹くん"と彼女が呼んでいた顔がちらつく。
あんなのガセだって分かってはいるけど、
自分の恋人が他の男と噂になるなんて、
気分の良いものじゃない。
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Aは俺のものだ。
そして俺はAのものだ。
それなのにどうして、こんなに気持ちがかみ合わなくて、
ずれてしまっているんだろう。
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