Love*4-11 ページ11
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「翔くん、しょうくん」
「、」
「寝るなら、向こうで寝ないと…風邪ひくよ、」
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私の呼びかけに、
うっすら瞼を開けた彼に向かってそう言うと、
私の顔を見て、翔くんは眉を少し寄せた。
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「、A？」
「ん？そうだよ、おかえり」
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内心、指輪のことを聞かれるんじゃないかって、
ドキドキしながら、
でも至って冷静を装って、にっこり笑ってみる。
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「…、ただいま」
「うん」
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ちょっと目に掛かっている長い前髪を、
指先で払ってあげたら、
その指をぱし、と掴まれて。
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そのまま引き寄せられて、
抱きしめられた。
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「っわ、」
「…」
「翔、くん？」
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名前を呼んだら、
ぎゅう、と腕に力が入る。
どうしたの、って聞いちゃいけない気がして、
しばらく黙ってそのままだった。
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「、ごめん」
「ん？ううん、」
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そっと解放されて、
彼が、悲しそうに笑う。
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ああ、傷つけてる？もしかして。
私だって、謝りたいのに、
それをしたらもっと傷つけてしまうって分かってるから、
それができない。
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「…寝るわ、」
「うん」
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ふ、と口元をあげてソファから起き上がり、
寝室へ向かう彼の背中を追いかける。
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隣に潜って、身を寄せ合う。
いつもなら、こっちを向いてくれるのに、
今日は背を向けていて、顔を見せてくれない。
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泣きたい。
家の中でつけて、外に出るときに外せば良いって、そんな簡単な話じゃない。
ずっと付けていたい、貰った時にそういったのは本心で、
それは今でも変わらない。
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だけどあれは、私と彼の愛の証のあの指輪は、
同時に大勢を不幸にするものだ。
…怖い。
今度、決定的な何かが撮られたら、きっと私たちはお終いだ。
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"あるわけない"ってことが、現実に起きる世界だ。
うっかり付けて、外に出るなんてことがあったら、
私が願う、ささやかで静かな幸せが、一瞬でなくなる。
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分かってよ、って思うけど、
心は言葉にしないと伝わらないって分かってるから、
きっと、分かってくれない。
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翔くんは、こっちを向かない。
ぎゅ、と唇を噛んで、背を向けた。
息を止めて、じっとしていたら、胸が痛くなって、
ぽろん、と涙が流れた。
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幸せって、脆い。
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