慈愛に満ちたおかあさま (ページ6)

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母と子の再会ページ6

｢おはようございます、国永。｣

ふわり、目元をやわらげ優しく微笑む愛に、まだ覚醒しきっていない頭を必死に働かせ、鶴丸は言葉を探す。

その目は、大きく見開かれていた。

｢……た、あ、さま…？｣

ようやく言葉になったのは、絞り出すような掠れた声で呼んだ、母を示すそれだった。

その言葉を聞いた愛は、ぱちくりと目を瞬かせ、次いでくすくすと静かに笑った。

｢まぁ、国永ったら。ふふっもう、母をたあと呼ぶ歳でもないでしょう？……随分と大きくなりましたね、可愛い可愛い私の子。｣
｢たあ、さま……ったあさま！｣

どこか嬉しそうに肩を揺らして笑う愛に、鶴丸は勢い良く飛びついた。

何度も母を呼びながら、その華奢な背中に腕をまわす。

愛の前では、国宝である名刀も、ただの母の愛を求める子どものままだった。

｢よしよし、母はここにいますからね。｣

鶴丸の白く美しい髪を梳くように撫で、優しく背中をぽんぽんと叩き、愛は千余年ぶりに触れる息子を愛情たっぷりにあやす。

どれ程の時が経とうと、愛は一人たりとも子のことを忘れず、そして変わらずに愛を注ぐ。

そのぬくもりを離すものかと、鶴丸はいっそう強く、母を抱きしめた。

その光景は、紛れもなく、母と子の姿だった。