my hero【Satoshi】 (ページ40)

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どうしよう(智side) ページ40

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ…
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ…

耳元で鳴る音はいつも以上に無機質に聞こえる。

長いな……

Aちゃんが電話に出ない。

おいらのファンだって言ってくれてたのに、
電話に出てくれない。

出てくれないんじゃなくて、
出れる状況じゃないんじゃないかって、
嫌な予感が頭をよぎる。

こんな時ってどうしたらいいんだ？

ニノとか松潤なら、さらっとラインしたりして
助けられたりするのかな。

翔くんなら、頭いいからもっといい案を思いつくのかな。

相葉ちゃんなら、迷いなくすぐ行動するのかな。

おいらはいつもぼーっとしてて、
こんな状況になったことなんてなかった。

なんであの時、どこに住んでるか聞かなかったんだろう。

少なくともこの近くではあるだろうけど、
東京のど真ん中。

家なんて数えられないほどある。

一軒家なのか、マンションなのかも分かんない。

そんな事考えてると、パニックになってきた。

どこかで誰かに絡まれてたらどうしよう。

家で旦那さんと上手くいってなかったら……？

Aちゃんの腕のあざを思い出す。

こんな気持ちになったのなんて初めてだった。

1回しか面と向かってしゃべったことないし、
ちゃんと知らない子なのに。

どうしてこんなに気になるんだろう。

どうやったらAちゃんを助けられるんだろう。

とにかくどうしたらいいか分からないまま電話を切っちゃって、寝るに寝られなくて色々考えてたら、カーテンの間から、うっすら光が差し込んでた。