my hero【Satoshi】 (ページ38)

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優しいページ38

次の日の朝目覚めると、身体中に激痛が走って、しばらく体を起こすことさえ出来なかった。

ただ、私はベッドの上にいて、隣に冬馬の姿はなかった。

やっとの思いでキッチンへ向かうと、

《昨日はごめん。俺、どうかしてた。今日帰ってきたら、ちゃんと話がしたい。》

と書かれた紙が置かれてた。

冬馬もちょっとは反省してるのかな？って思ってしまう私も、どうかしてるってことは自分でもわかってる。

こうやって期待して、その度に何度も裏切られて痛い目にあったのに。

もう1回だけ期待してみてもいいかなって考えてしまう。

でも昨日みたいなことが続くと、さすがにもう死んでしまう気がする。

どうしたらいいのか悩んでると、着信音が鳴った。

そうだ！
昨日おーちゃんからの電話出れずに終わっちゃったんだ！！

せっかく電話くれたのに……！

この電話終わったら掛けてみようかなって思って、携帯を手に取ると、その着信はまさかの《おおちゃん》から。

反射で通話ボタン押しちゃったけど、なんて言えばいいんだろう！！？！

A「…………もしもし？」

私は、もしもしって言う時は語尾を上げないタイプなんだけど(←)、もう普段の電話とは全然違って、グチャグチャだった。

智「あ、Aちゃん？！昨日大丈夫だったの？」

A「すいません！せっかく電話いただいたのに出れなくて……」

智「そんなの全然いんだけど、ちゃんとうち帰れたか気になって……でも無事でよかった～」

ああ……優しい。
あったかくて優しい。

男の人からこんなやさしくしてもらうなんて、ほんとに久しぶり。

もういっそのこと、この人のところへ行ってしまいたい

こんな場所捨てて、逃げ出したい

離婚届だけ書いて、こんな所出ていってやりたい

逃げ出して、おーちゃんのおうちに行ってしまえたらどんなに幸せだろう？

この家を出たからって、おーちゃんのお家行けないことくらい自分が1番分かってることなのに。

この人だけには絶対
助けてなんて言えない。