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最後のご褒美 ページ26
冬馬にどれだけ傷つけられても
涙が出ることなんてほぼ無かった。
なのになんでだろう。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃのこの顔を
一番見られたくない人の前でさらけ出してしまっている。
いろんなことを考えれば考えるほど
涙が出てきて止まらない。
そんな私の手をそっと握り
導いてくれるあなたは
やっぱり私の……
ヒーローだ。
大好きな大好きな
たった1人の私のヒーロー。
誰かに見られてるかもとか
冬馬がこの状況見たらどうなるんだろうとか
色んなことが頭をよぎったけど
私はおーちゃんに手を引かれながら歩いた。
こんな幸せな気分になったのは
いつぶりだろ
もしかしたらこれは
神様から最後のご褒美的なものなのかもしれない
これから私が、嵐なしでも生きていけるように
そんなことを考えているうちに
おーちゃんが足を止めた。
そこは私の家から歩いてわずか10分ほどの場所にある
都内でも有数の、高級マンションの前
なんとなく予想はしてたけど
やっぱりここに住んでるんだ……
智「どしたの？嫌だ？(笑)」
立ち止まっていると
私の大好きな笑顔をこっちに向けてそう言った。
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作者名：ちぇりんぼ x他1人 | 作成日時：2017年1月12日 19時
