みんな大好き紅一点！６ (ページ15)

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初恋と山茶花ページ15

玉森「………………え」

茶織「ところで裕ちゃん、今日はどーしたの？なんか走ってきたっぽかったけど」

目の前には幸せそうなさっちゃんと藤原さん

何が起きたか分からなかった。

さっちゃんに婚約者がいたなんて

知らなかった。

そういえば、さっちゃんに彼氏いるとかすら聞いたことなかったし、聞きもしなかった。

勝手に俺だけ暴走しちゃって……
勝手にさっちゃんは俺のものって思っちゃってて……

………………なんで言ってくれなかったんだろ

俺、バカみたい

ずーっとずーっとさっちゃんしか見てこなかったのに

さっちゃんに男として見てもらうために、必死で頑張って

そしてデビューも決まったのに

なのに

なのに

いきなり婚約者だなんて……

玉森「…………ざけんなよ」

茶織「え……？」

玉森「…………ふざけんなよ！！さっちゃんのバカ！！！」

俺は橋ってサザンカを出た。

後ろでさっちゃんの俺を呼ぶ声が聞こえてきたけど、そんなの無視して走って家に帰った

何で？何でなの？

デビューするまで待っててくれるって言ったじゃん

俺、そんなに子供かな

さっちゃんとは釣り合わないかな

ずっとずーっとさっちゃんのことが大好きだったのに

何で？彼氏いるなら言ってよ

何で教えてくれなかったの？？？

泣いた

俺はひたすら泣いた

小学生の時に宿題を教えてもらったこと

さっちゃんが料理専門学校に通ってたときに、試作品の味見をさせてくれたこと

中学の卒業式の後に女子に、制服のボタン全部取られた俺の姿を見て、うちの母親とビックリしてたこと

さっちゃんの作るフワフワのホットケーキの味

レッスンで先生に怒られて落ち込んでた時、励ましてくれたこと

俺が先輩のバックで歌番組に出る度に見てくれてたこと

コンサートを見に来てくれて、俺が一番カッコよかったって誉めてくれたこと

二十歳のお祝いで、ミツ達に体育会系な感じで飲まされた帰りに、サザンカに寄ったら介護してくれたこと

ずっと俺を信じて応援してくれたこと

…………頭の中には、さっちゃんとの想い出がたくさん

思い出すと涙がとまらなかった。

それから今日までの７年間、１度もサザンカに行ってない

だって、さっちゃんとの想い出を思い出しちゃって、悲しくなっちゃうから…………。