俺のオキニの愛し方【センラ】

-Story6-side夢主- ページ7

急いで駅まで走って満員の電車に乗り込んだ。
通勤ラッシュでたくさん人がいる中もちろん私は座ることができなくて暇を潰そうとしたとき、大事なことに気づいた。
私…もしかしてスマホ忘れた…？
いろんなところを探しても見つからない。
それは災難。また推しに迷惑をかける、絶対してはいけないことじゃん…

家についた頃には寝てないせいかクタクタで早く寝ようと思っていた…のに、玄関を開けると家中に響き渡る固定電話の着信音。
誰だよ…と思いながら電話に出ると、声の主は…

「えっ…センラさん…？？」

私のスマホからセンラさんが電話をかけて来てくれていた。
ほんと私何してんだろうと反省しながらも、また推しに会えるという嬉しさで私は即お風呂に入って化粧をして昨日の居酒屋に足を運んだ。


「Aちゃん！」

「センラさん！お待たせしてすいません…」

「いやいやセンラも今きたとこやから。あ、これスマホ！」


スマホを受け取るとセンラさんは私の腕を引いて連れていきたい場所があるとどこかへ歩いていった。あれ、なんかこれデジャブ。
それより私のスマホセンラさんが触ったってことだよね、え、まって、しぬしぬしぬ、えっスマホがこれはもうセンラさんじゃん。えっ…
なんてオタクの考えをしていたら「ついたよ」というセンラさんの声がした。

顔を上げて周りを見るとそこは綺麗な夜景が広がっていた。

「きれい…」

そんな言葉しか出てこなかった。

「なんで…私を…」

「昨日酔っ払って連れ込んでしまったから…謝罪の気持ちというか…」

「ふふっありがとうございます！！」

いやまず私のほうがすごく迷惑をかけたのにこんなところにまで連れて行ってもらえるなんて。私はどれだけ贅沢なんだろう。
これが終わってしまったら本当にセンラさんとはお別れだ。ライブでも私がセンラさんを見たとしてもセンラさんからは私をちゃんと見れるわけではない。キャスやツイッターでも私を毎日見るなんてできるわけがない。まず最初から私は数百万のファンのうちの一人なのだ。
出会えただけで奇跡と思わなければ。

「今日はありがとうございました…あと、昨日も。ライブもとても素敵で、本当に…大、好きっ…」

さよならと言えなかった。
また会えるなんて、こんなふうに会うとかじゃない。私が一方的にファンとして会いに行く。それが普通だけどこうやって会って話すのがどれだけ楽しかったか。この2日間は絶対忘れない。それも全部センラさんのおかげだった。

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