浦島坂田船でただただ妄想を膨らませるやつ【短編集】 (ページ34)

今日:7 hit、昨日:32 hit、合計:654,186 hit

※リスカ①【志麻】ページ34

リスカ等の病み表現があるので苦手な方は飛ばしてもらって構いません！！

*
**

ちょっと昔の夢を見た。
大好きな大好きだった志麻くんが別の女の彼氏になっていて、その女は私の悪口を言っている。

その後からか精神的に疲れていた私。
志麻くんは泣いて起きた私を抱きしめて朝から「大丈夫、大丈夫ここにいるよ」と慰めてくれていた。

今日は違う。
仕事でいないのだ。
3日ほど家に帰ってこない。

あの夢の不安が更に大きくなる。
もう痛みでごまかすしかないんだろうな

2日目の夜私は遂にカッターを机の引き出しから出した。

ツーっと流れる血
なんだか楽になれそうな感じだった。
痛みも自然と感じない。
ただ楽しいな、と思ってしまった。
見ているだけで浄化されるこの行為は何だろう。

とりあえず処置をして寝ることにした。

朝起きて横を見ても誰もいない。
不安がまた更につもり私は腕を切った。
苦しくなくなっていくこの気持ち。
スッと楽になる。しかし

ガチャッ

「ただいま！」

え、うそ！こんな早く帰ってくる予定じゃなかった。片付けなきゃ。はやく、見つからないようにしなければ。

「A！おるんならおかえりくらい言ってや」

『お、おかえり！』

処置をしてない左腕。
私は咄嗟に隠した。

「…？A左手どうしたん」

『いや、何もないよ？』

「ふーん、じゃあこの包帯とかは何？隠し忘れかな？」

あ、やってしまった。
血のついたカッターだけを隠すのに必死だった。

『あ、…』

「ん、見せて」

強引に腕を引かれて露わになる左腕。

「えっ…リスカ…？」

『…』

「なんでこんなことしたん」

目の前にいる志麻くんはいつもの志麻くんじゃなかった。全く違う人みたいだった。

「とりあえず処置せな」と言って包帯を巻いてくれた。血のついたカッターも見つかってしまいとりあえず洗いに行くわ、と洗いに行ってしまった。

何を言われるんだろう。不安がまた募る。
リスカしなきゃ、私が潰れちゃう。

志麻くんが戻ってきてベッドに腰掛けた。

「Aこっちおいで」
志麻くんは自分の足の間をとんとんっと叩いた。

志麻くんに背を向けるように座ると「こっち向いて」と促された。
向かい合うように座ると流れる沈黙。私から話そう。と思うがうまく声が出なかった。

「おれのせい？」

『え？』

「Aの腕こうしたのはおれのせい？」

違う、そんなんじゃない。ただ私の心が弱かったから。