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第30話 シトリンの足跡9 ページ32

安室「まず僕は、あなたに迷惑なんてかけられていませんし思ってもいませんよ。もちろん店の従業員も子どもたちも。巻き込んだなんて言いますけどあなたに巻き込まれてなんていない、踏み込んだのは僕です。」

安室は1つずつ彼女の思い違いをほどいていく。
流花は頑なに受け入れようとしない。しかし段々とその意思が崩れていっているのが分かる。

流花「でもあなたを巻き込んで.....」

そんな彼女にとどめを刺すように

安室「さっきも言いましたが僕から巻き込まれに行ったんですよ。あなたは悪くない。」

流花の固まっていた表情が僅かに緩む。

安室「全て分かっていて何故助けたのかと聞きましたね。目の前で殺されようとしている人を助けるのは当たり前です。例え君が完璧な計画を立てていたとしてもそれは理由にならない。」

流花は押し黙ったままだが、どこか納得したような表情を浮かべるのと同時に、その目が宝石よりも綺麗で澄みきった煌めきをだして。まっすぐ自分に向けられるのを安室は感じた。
ポアロで安室の詮索を拒絶した時も彼女の瞳にはほのかに、それでいて確かな輝きがあった。

彼女の考えた作戦は穴だらけだったと少し笑って伝えてみせると流花は花が綻ぶように破顔する。

流花「上げて落とすタイプですか?さっきはすごいって褒めてくれたのに、ひどい。」

流花につられて彼は笑みを深めた。

安室「それとこれとは話しは別です。」

流花「...店員さんが何と言おうと私はあなたに迷惑をかけてしまいました、すみません。」

柔らかな口調だが凛とした態度で彼女は言った。

安室「強情ですね」

流花「何とでも」

安室「分かりました、それなら迷惑をかけた代わり今後何かあったら僕に言ってください。僕は探偵なんです。依頼受けますよ、有料で。」

こう言えば、彼女なら受け入れるだろう。そんな安室の思惑通りに流花は

流花「法外な現金とか無賃金労働でいいですよ?」

肯定の返事をする代わりにおどけた。それに応えるように笑ってみせて

安室「本当に僕を何だと思ってるんですか。」

先程言った言葉を、先程とは違う気持ちで発する。

安室「僕に迷惑をかけたと思うなら責任取ってください。流花さん、でしたよね?」

流花「ッ...はい、高槻流花です。」

彼女の名前を初めて呼んだ。それだけで流花はふにゃりと頬を緩ませる。

安室「安室透です。よろしくお願いします流花さん。」

流花「こちらこそです、安室さん。」

流花は蕩けるような笑みを浮かべた。淡くて清らかな光を溢れんばかりに散りばめて。

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未来ーミクー(プロフ) - 面白かったです!最初は「読みにくっ」と思いましたが内容は素晴らしかったです!!この調子で更新頑張って下さい。続き待ってます (2020年1月17日 16時) (レス) id: 6e3b9846a0 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - さちさん» めっちゃ嬉しい、読んでくださってありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです。更新なるべく早くできるように頑張ります! (2019年10月26日 21時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月26日 20時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - まさるさん» ご指摘ありがとうございます<(_ _)>修正しました! (2019年8月20日 22時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
まさる - 毛利探偵事務所の住所は、東京都米花市米花町です。東都などという地名はありません。 (2019年8月20日 13時) (レス) id: 7e2c3c7e2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一ノ瀬花恋 | 作成日時:2019年8月17日 5時

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