第29話 シトリンの足跡8 ページ31
迷惑をかけたと、巻き込んでしまったと謝罪してくる流花。確かに謝りたくなるその気持ちは分かる。だが彼女は本当にそうだと思っている。今回の件についてそれしか考えていないのだ。
安室(さっきの話しで何を聞いていたんだ君は。自分が危険な行動をしたと全く反省していない。あげく僕が君を迷惑に感じていると本気で思っているのか。)
いや、話されるまでもなくきっと彼女は危険な行為だと分かりきった上で実行して、失敗する可能性も殺される可能性も考慮に入れていたはずだ。そんなリスクを平気で蔑ろにでき、安室を巻き込んで彼が迷惑をかけられたと思っていると信じて疑わない流花。
自分の身の安全を重要視できず最優順位から外せるのは致命的だ。そして自分は人を心配するくせに、こんな危険な真似をして自分は心配されていると思わないのか。それとも安室を人でなしとでも思っているのか。謝罪をするなら危険な行動をしたことと心配させたことについてしてほしい。
安室「.....頭を上げて下さい。」
注意はしなくていい。そう考えていたが流花に佐藤からの説教が染みていないなら話は別だ。
安室「どんな理由があろうとあなたの行動は本当に危険でした。色々考えて仕掛けを用意したとはいえ安易にも程がありますよ、自らを囮にして犯罪者と分かっている相手を誘い込み自白させようとするなんて。」
そして彼は流花が自分に危害を加えさせようとしたことを見抜いていたことを話す。彼女は否定しない、それが答えだろう。流花は少し思案顔をして
流花「私の手の内が分かっていたのなら、どうしてあの時店員さんは出てきて流花のことを助けたん.....助けてくれたんですか?」
助けたんですか、と言いかけたのが全然誤魔化せていない。失礼だと思ったのだろうが。
安室「.....それ本気で言ってます?」
流花「や、この流れで冗談言いません。」
まるで小学生が教師に質問するかのような表情で問うてくる流花。純粋な疑問で、彼女は本当に分からないのだ。冗談の方がまだよかったと考えて、
ぷつん、と安室の中で糸が切れた。
そしておもむろに流花に近付きその額にデコピンをかます。想像よりいい音が鳴った。
安室「すみません、つい。」
額を押さえて痛がる流花に謝罪の言葉を述べる。最も彼は申し訳ないなんて少しも思ってないが。
流花「なんで、あ、迷惑かけて巻き込んだ恨みですか?それならどうぞ、好きなだけ甚振って下さい!」
安室「君は僕をなんだと思ってるんだ。」
手を広げて「さあ!」と言わんばかりの彼女に呆れ、安室は思わず口調が乱れた。
153人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未来ーミクー(プロフ) - 面白かったです!最初は「読みにくっ」と思いましたが内容は素晴らしかったです!!この調子で更新頑張って下さい。続き待ってます (2020年1月17日 16時) (レス) id: 6e3b9846a0 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - さちさん» めっちゃ嬉しい、読んでくださってありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです。更新なるべく早くできるように頑張ります! (2019年10月26日 21時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月26日 20時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - まさるさん» ご指摘ありがとうございます<(_ _)>修正しました! (2019年8月20日 22時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
まさる - 毛利探偵事務所の住所は、東京都米花市米花町です。東都などという地名はありません。 (2019年8月20日 13時) (レス) id: 7e2c3c7e2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:一ノ瀬花恋 | 作成日時:2019年8月17日 5時