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「おいこら。何のために俺が身引いたんじゃ、ぼけ」
『……え』
「岸って男とは上手くいったんかって聞いとんねん」
思いがけず強ばる顔に、ははっと廉くんが笑う。
「変な顔すんなや笑。まぁその感じやと伝えられたみたいやな」
『…う、うん。……廉くん、ありがとう』
「お〜感謝せい。……ま〜あれや。安心してや。俺、Aちゃんよりいい女ちゃんと見つけんで」
『……うん』
私よりいい女なんてたくさんいるに決まってる。
だけど、そんなことを言われたって廉くんはきっと嬉しくないだろうから。
「喧嘩でもしたら、相談乗ってやってもええけど」
『う…そうならないように頑張る』
「どうやろな。Aちゃん溜め込むタイプやから、変に考え込みそうやん」
『そうかな？』
「お〜、まぁ頑張りや」
『うん、ありがとう…？』
私の頭にぽん、と手を置いて廉くんは笑ってくれる。
じゃーな、と今度はその手をひらひらさせて帰っていった。
廉くんのおかげで、いつも通りになれる。
その廉くんの優しさに、ずっと救われてたんだな。
こんな私なんかが思うことでもないだろうけど
廉くんには幸せになってほしい、と
心から願った。
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会社から歩いて向かい、優太くんに伝えられた居酒屋が目に入ると
ガラガラッと店内から出てくる人影が見えた。
その見覚えのある姿に目を凝らして見てみたら
優太くんであることがわかって、気持ちがだんだんと弾んでいく。
スキップしたくなる気持ちを抑え、脅かそうと、ゆっくり静かに優太くんに近づいていった
そのとき、
「優太〜」
可愛らしい声が高らかに響く。
ガラガラと扉が開かれて、店内から出てきた人を見たら、思わず足が止まった。
その人は、前に優太くんの卒業アルバムで見た人
いつも優太くんの隣に居た、あの女の子だったから。
優太くんがその声に振り返ったとき
グラッとよろけた体を女の子に支えられていた。
体が勝手に動いて、建物の陰に隠れて耳を澄ます。
だけど、会話は聞こえなくて、ただ密着する体だけが鮮明に映し出される。
ぴゅ〜っと吹いた強い風で砂埃が飛ばされて
私もどっかに飛んでいけたらいいのに、なんて。
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hinata(プロフ) - すかいさん» お読みいただきありがとうございます！岸くんのお世話係ですのほうでもコメントくださって、とても感激しております…！ 更新は停滞しておりますが、他作品でも機会があればよろしくお願いいたします！ (2020年3月14日 11時) (
レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
すかい - コメント失礼します！とても素敵な作品で、読んでいた幸せな気持ちになりました。ありがとうございました^ - ^ (2020年3月14日 2時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ぷーちゃんさん» はじめまして！うわぁありがとうございますっ！！読んでいただいてる人が情景を浮かべられるように書くのを心がけていたので、そう言っていただけると嬉しいです(T^T)最後までありがとうございました！！ (2019年8月25日 2時) (レス) id: 3e3d9afca9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - 初めまして、岸くんも廉くんもかっこよすぎて平野担なのに恋しそうでした‥笑 とても読みやすく背景が想像出来るような内容でとても楽しかったです！！ (2019年8月21日 18時) (レス) id: f5805a4cc2 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます(T^T) 私の作品が好きだと言っていただけることが何より嬉しいです！！新作ができた時には、またぜひよろしくお願いします！！ (2019年8月11日 0時) (レス) id: e06037eac2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hinata
| 作成日時：2019年4月22日 17時
