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……嗚呼、この目、知っとる。
一度決めたらてこでも動かないこの目。
その目に、俺は何度憧れて、何度救われてきたことか。やけど、
「は?何言っとるん!?」
今回ばかりは反論せずにいられなかった。
「私、歌を続けるよ。ちょうど、CDも3ヶ月後だし!丁度いいって!」
「そういう問題やない!!」
これは、Aの命に関わるんやで?
もう、歌を続ける云々やない。
……雨を辞めて、Aがいきられるなら。
「まふに迷惑かけないのはこれしかないんよ!入院すれば……隠すこと、難しいやろ?」
その目は、“まふに迷惑かけたくない”っていう思いが突き動かしてるんやな。
「まふ、まふ、まふ!!迷惑かけたくないってそればっかや!!」
普段は飲み込むこの言葉も、この状況では無理で、気づいたら口から出ていた。
「かけれるわけないやん!?私のせいで彼を煩わせてしまうことは絶対だめなんよ!」
なぜそこまで迷惑かけたくないと嘆くの?
もう昔とは、違うのに。
まふだって、頼ってもらえない!
とこの間嘆いてたし
Aにはいつも頼って!って言ってるのに!
とも聞いてる。
隣にいたはずなのに、幼馴染という特等席に座って見続けてきたはずなのに。
今更彼女が、分からなくなってしまった。
俺が口を閉ざした隙を見計らって、Aは今まで黙って見てくれてたお医者さんに、
「暫くは今まで通りの生活、できますか?」
と問うた。
もう、貴女は自分の進むべき道が決まってるかのように。
「しばらくは、発作さえ抜けば、普段の生活と何ら変わりわないかと。ただ、激しい運動は避けて頂きます」
「……入院、ギリギリまでしなくても大丈夫ですよね。どうせ死んでしまうのなら……自由に暮らしても」
まっすぐ向いて、突き進む。
「……そこは、我々は決めれません」
「入院は、ギリギリまでしません。やりたいこと、やらなければならないことが、沢山あるんです」
手を触れたら、儚く脆く、雪のように消えてしまうかのように微笑んだ彼女。
それ見た途端、先に泣くのはまずい、と思って必死に止めていた涙が溢れ出た。
「……わかりました。通院は出来れば……一週間に2回にしときましょう」
「わかりました。これから、3ヶ月。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
深々と頭を下げた彼女は、どこか遠くへ行ってしまったような気がした。
嗚呼、神様。なんでAなんですか?
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野良神 - 凄いですね。面白いです!更新頑張ってください! (2018年11月6日 18時) (レス) id: d6c3f54fc0 (このIDを非表示/違反報告)
桜瀬さわ@“自称”大天使さわさァん(プロフ) - あいらさん» ありがとうございます;;最近更新疎かになってるのにコメント貰えてとてもびっくりしてます!(一時期消すことも考えてました)その言葉でもうちょっと頑張る気が起きました!諸事情で次回の更新まで時間がかかるかもしれませんが続編に向かい頑張ります。 (2018年9月10日 19時) (レス) id: c9f142c710 (このIDを非表示/違反報告)
あいら - 初コメ失礼致します! 僕シリアス大好きでして…この作品大好きです!描写もとても好きです これからも頑張ってください! (2018年9月10日 13時) (レス) id: 556c8a168b (このIDを非表示/違反報告)
桜瀬さわ@“自称”大天使さわさァん(プロフ) - りょうかさん» この作品、描写に力をいれてるのでとてもとても嬉しいです!ありがとうございます! (2018年1月8日 10時) (レス) id: c9f142c710 (このIDを非表示/違反報告)
りょうか - すごく描写がきれいに書けていて、すごいなと思いました!更新頑張ってください! (2018年1月7日 6時) (レス) id: a812e7560b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜瀬さわ | 作成日時:2017年9月9日 9時