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□部屋デート【リクエスト】 ページ3

「え、今なんかすれ違った気するんだけど?」
「見てめいちゃん、なんかおじさんが応援してくれてる。」
「それ逆走だよ!Uターンの標識見たことないの!?」
「免許持ってないもん!」

めいたまクッションを下敷きにスイッチをポチポチする。生まれてこの方20云年、まともにゲームに触れてこなかった私のゲームセンスは壊滅的だった。

「無免許でマリカすんなよぉ!」
「理不尽!誘ったのめいちゃんだし!」

野次を入れつつもオンラインで1位をキープするめいちゃんですら下手の部類に入るらしい。
かくいう私はラップ1/3のままゴールインすらさせて貰えなかった。

「まさか俺より伸び代ない人がいるとは…。」
「あっ酷い!練習しても下手なめいちゃんよりマシでしょ!」
「ちょーっと!泣いちゃうよ!」

悔しくて小脇をつま先でつつくと、コラー!と笑いながらじゃれつかれる。


「酷いこと言ったのはこの口かい?」
「さきにいったのはめいひゃんらもん!」

仰向けの私に上半身だけ覆い被さるようにして、頬を両側から引っ張られた。半分だけとは言え成人男性の体重は耐えられないし、ほっぺは痛いしで全力で抗議するが取り合ってくれない。

「うわーん!いひゃいよー!ぐるじいー!」
「悪い子ちゃんにはお仕置しないと。」
「めいひゃんおもいよ。」
「アー!!また酷いこと言った!!」

私を見下ろす顔がへたくそな泣き真似をする。えーんえーんという泣き声と、目の下に手を添えるのを忘れずに。

「泣いちゃったの。」
「泣いてるよ、機嫌とらなきゃ。」

ほんとに泣いてる人はね、そんなふうに冷静に返さないんだよ。知ってるかな?
ともあれ私が始めた茶番なので、最後まで付き合って上げることにした。


「ごめんね。チューしてあげるから許して?」

ピタっと分かりやすく泣き止んだめいちゃんに思わず笑ってしまいそうになるけど我慢する。意外とこういうおバカなイチャイチャが好きなんだよね。

のしかかっていた体重は消え、そそくさと体勢を整えた。準備万端ですよ、と言わんばかりの彼は無言でこちらに訴えかけてくる。

「目、瞑ってよ。」

即座にまぶたを閉じる姿も愛おしい。約束は約束なので、乱れた横髪をはらって無防備なその頬にキスをした。


「…は?」
「したよ。」
「は!?」
「どこにとは言ってないもーん。」
「はー!?弄ばれたんだけど!!」

からかってきたお返しだよ。



−−−
リクエスト【甘々/お家デート】

□PM10:59→←□花ひらく夜の灯火



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作者名: | 作成日時:2022年8月29日 23時

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