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すっかり日も落ちて道行く人もまばらになっていく。
「うんまかったー!」
「どう、人の財布で食べるラーメンは?」
「あのね、マジ最高。」
今回のお会計は私持ち。どこに行くにしても絶対伝票離さないマンなので、日頃の感謝を込めて今日くらいは奢らせてくれと頼み込んで財布をしまって頂いたのだ。
「あんなとこにラーメン屋さんあったんだね。」
「そー最近のお気に入りなんだよね!」
「ラーメンマスターじゃん。」
「なんかそれやだぁ!」
このめいちゃんという男、先程までとんこつラーメン半チャセット、餃子ひと皿と替え玉という大食漢ぶりを発揮していたというのにもう元気に暴れ回っている。
私なんかラーメン1杯で限界だというのに。元スポーツ部は侮れない。
「A塩だったよね?」
「うん、美味しかったよ。今度また来よっかな。」
「誘ってよ?」
「やだ!」
「なぁーんでよ!!」
静かな路地を抜け大通りに出ると一気に人で溢れかえっていた。
次々とCMが映り変わる電光掲示板とLED信号機を目にする度はしゃいでいた上京したてのころが懐かしい。
「めいちゃんもあそこに載ってたんだ〜。」
「ここじゃなくてしーぶーや!てかなんで知ってんの!?」
「Twitterで見た。ラナいい曲だよね!」
「遡んな!!ありがと!!」
「今度弾いてもいい?」
「お願いします!!」
怒ってるのか笑ってるのか分かんない顔をしながら綺麗にお辞儀する姿がおもしろくてカメラを起動しそうになるけど、カブトムシ事件から学んだめいちゃんに阻止された。
目印の看板の手前で曲がってまた路地へ入る。
武道館おめでとう記念に飲まない?という話になって、いつものカフェ&バーに向かっているところだ。
例の電話の件であんなに不安そうだったのはライブ前夜だったかららしい。全然分かんなかったよ。教えてよ。
「酒が飲めるぞー!」
「声おっきいって!」
久しぶりのアルコールにテンションMAXらしいめいちゃんをたしなめて、見慣れたドアノブをひねった。
「…あ。」
「あ?」
カウンターの右端、いつもの席。
出入口から1番近いそこへ腰掛けていたのは、すでに若干出来上がっているなるせだった。
「え?なるせが外いんだけど。」
え?そこもラインあんの?
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哀(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» コメントとお祝いの言葉ありがとうございます!お褒めの言葉もとても嬉しいです…!番外編の方もがんばりますので、ぜひよろしくお願いします! (2022年8月27日 10時) (レス) id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵なお話にドキドキワクワクしまくりました!ぜひまた🐏ちゃんの小説をお願いします!!!Twitterもこれからも楽しく拝見させていただきます!本当にお疲れ様でした!!! (2022年8月26日 19時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 涼風さん» コメントありがとうございます!あれって地域差によるものだったんですね…笑これからも自分のペースで頑張ります! (2022年8月11日 18時) (レス) @page30 id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - ゴミステーションでもしや住んでる地域一緒なのでは…!?と思ってしまいました笑笑内容もとても面白いので、これからも更新楽しみにしています!!!!無理なく頑張ってください😚♡ (2022年8月11日 0時) (レス) @page28 id: d41656e1e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» コメントありがとうございます!少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。更新も自分ペースでボチボチ頑張ります! (2022年8月7日 20時) (レス) @page23 id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:哀 | 作成日時:2022年7月23日 10時