●海色コインロッカー2〈番外〉 ページ20
「…知り合い?」
「断じて違います。」
嵐のように去っていった2人組の男を指さしながら問いかけると、解せないと言わんばかりのしかめっ面で即答された。
令和の今、まさかナンパなんてないだろうという矢先の出来事だったのでかなり焦ったんだけど、怖い思いはしてないみたいで安心する。
「まーーっじでごめんね!1人にさせるんじゃなかった…。」
「どうせ着替えなきゃいけなかったし大丈夫!」
「なんもされてないよね?」
「へーき。」
あーあ、せっかくならナンパで困ってるAの前に颯爽と助けに入るめいちゃん!したかったなー。
そうして改めて目に入ったAの水着姿に思わず釘付けになる。華奢な鎖骨をたどって伸びた細い手首。普段ならぜっったい見えないような滑らかなくびれは、端的に言うととてつもなく目に毒だ。
「ねー待って!水着可愛すぎる!」
思わずその場にしゃがみこみそうになるのを何とか堪え、自分の着ていたカーディガンを押し付ける。
「着て!減る!」
「え、やだ。」
「お願い!見られたくない!」
「誰も気にしないよ!」
「羽織るだけだからあー!」
断られてなお諦めずに押し付け続けると、渋々といった様子で羽織ってくれた。できれば袖も通して欲しかったんだけどそうすると俺も拝めなくなるので言及はしない。そこ!むっつりとか言わない!
「てゆか、なにその柄?」
「お?気づいちゃいましたか!」
「んー…猫ちゃん?」
遠目から見るとただのご機嫌アロハ水着だけど、よくよく見てみれば猫柄になっているという仕様だ。今年のめいちゃんイチオシ水着です。
「ふざけ無しって約束じゃん!」
「なんだとー!かわいいでしょーがっ!」
キイキイ言い合って、お互い耐えきれず吹き出す。
くだらな、って海の青をバックに微笑むAは磯波によく映えて、あの2人組が声をかけたのも頷けるくらい綺麗だった。
「かき氷奢ってよ。そしたら許す!」
「許すってなにをよー?」
「遅刻。」
「喜んで奢らせていただきます。」
頷くと同時に、ざまーみろ!とも思う。
どんだけAに声をかけようとも、かき氷を奢る権利は俺のもんだもんね!
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哀(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» コメントとお祝いの言葉ありがとうございます!お褒めの言葉もとても嬉しいです…!番外編の方もがんばりますので、ぜひよろしくお願いします! (2022年8月27日 10時) (レス) id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵なお話にドキドキワクワクしまくりました!ぜひまた🐏ちゃんの小説をお願いします!!!Twitterもこれからも楽しく拝見させていただきます!本当にお疲れ様でした!!! (2022年8月26日 19時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 涼風さん» コメントありがとうございます!あれって地域差によるものだったんですね…笑これからも自分のペースで頑張ります! (2022年8月11日 18時) (レス) @page30 id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - ゴミステーションでもしや住んでる地域一緒なのでは…!?と思ってしまいました笑笑内容もとても面白いので、これからも更新楽しみにしています!!!!無理なく頑張ってください😚♡ (2022年8月11日 0時) (レス) @page28 id: d41656e1e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» コメントありがとうございます!少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。更新も自分ペースでボチボチ頑張ります! (2022年8月7日 20時) (レス) @page23 id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:哀 | 作成日時:2022年7月23日 10時