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誰かからの初めての贈り物は、綺麗な花束でもなく、可愛らしいお人形でもない。
わたしの手には余る、大きなサバイバルナイフだった。
初めて肉を裂いたときは、涙と嘔吐が止まらなかった。
死臭と、人間が焼ける臭い。
ブーツの裏についた乾ききらない血痕は、足を重たくさせる。
けれど戦場にたてば、わたしは兵器としての意味を持てる。
それでいいの。そうしてわたしは生きてきた。
わざわざわたしの指先に羽を休めにきたかわいいちょうちょ。
わたしがほしいものは必ずわたしから離れて行ってしまうから。けど、留まらせておく方法なんてわからない。
だから食べる。
わたしは何を見ているんだろう。
帰らなきゃ、はやく、わたしの戦場に。
−
未だ重たい瞼を持ち上げる。
少女が1番初めに見たものは、白い、見覚えの無い天井。
｢あ、起きた？｣
ぼんやりしていた少女の意識は、その一声ではっきりと覚醒した。
素早く起き上がって、近くにあった医療品が並べられたカートを倒し、声のした方向から自分を隠すようにシーツを放り出した。
｢ちょっと！暴れたら傷口が！｣
警戒心を剥き出しに後退した少女に構わず近付くと、まるで猫のように瞳孔を細めて飛び上がる。
もし彼女に毛皮があったのなら、それこそハリネズミのように毛を逆立てていることだろう。
医療品が散らかり、ガラスも割れている部屋で暴れ回るものだから、勿論傷口は開くし新しい傷はつく。
帰らなきゃ、どこに？
ショッピのところに。
情けないわたしのこと、まだ待っていてくれてる？
わからないけど、でも、
青年の声も聞かず、ドアノブに手をかけて廊下に転がり出た先にいたのは、
｢うわっ、え、Aさん目ぇ覚め...傷口増えてないっすか！！？？｣
｢ショッピ、なんでここに...えと、怪我は？何かされてない？わたしのこと分かる？｣
無傷の青年が重症の少女に心配されている。
注釈をつけるとすれば、彼女は至って大真面目だ。
｢もー暴れん坊だなぁ...ショッピくん説得してよー｣
｢...ちょっと、面白がってるでしょアンタ。Aさんに近づかないで下さい。｣
毛を逆立てる少女をよそに、妙に親しげに会話が交わされる。
｢...説明するんで、あの人たち呼んでもらえます？｣
｢はいはい、わかったよー｣
ちらりと彼を見やった少女の顔色は、警戒の色こそ伺えるがやはり変わらない。
相も変わらず動かない頬に手を滑らせながら、青年はため息をついた。
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
