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力自体はあまりないようで、少し押し込めばあっさりと後ろへ下がる。
すかさず愛銃を撃ち込むが、最小限の動きで躱された。
随分とトリッキーな動きをする。アクロバットを実践向きに組み立てなおしたような、見ていて飽きない動きだ。
俺としては始末する前にちょっとくらい話したかってんけど、あちらさんはどうもそういう気分じゃないらしい。
傾いた不安定な体制からバンバン撃ってきたかと思えば飛んだり跳ねたり忙しい。
力が無い分、手数とスピードでカバーしとるところとかは最高に唆る。
｢うわちょっ、危なっ｣
ほそっこい足が振り上げられる。
嫌な予感がして何となく受け止めずに避ければ、ブーツの先端には鋭い刃が埋め込まれていた。
仕込みブーツとか、昔試してあまりの扱いづらさに挫折した記憶しかない。アレは足の指先で操作するから難しいねん。
回し蹴りの着地際に、光沢のある銃が袖口から顔を覗かせる。
一体どんだけ仕込んどんねんまじで。
反射神経良すぎやろ、と言う引きつった声は喉元で止まった。
避けようと思えば避けられたし、ナイフで弾くこともできたが、あえて許容してやる。
代わりにこっち貰ってくわ。
敵国の兵器のまだ覚束無い足を払えば、呆気なく宙に投げ出される四肢。
全身打ち付けさすのも可哀想やし、片足だけ持ってやれば女は宙吊りになる。ははっ愉快愉快。
あと念のために袖口から出した銃は空いている方の手で払い飛ばしておいた。
すかさずホルダーに手を伸ばす余力は残っているようで。
｢寂しいことしてくれるやん、花喰いチャン｣
まだ余韻に浸っとこうや、なぁ？
戯れに伸ばした手のひらを撃ち抜いて反応を伺う。
泣いて許しを乞うか、恐怖で身をすくませるか。
さぁどっちや？
｢嫌いなの、その名前。｣
初めて耳にした声は、まるで鈴を転がすような愛らしさを含んでいた。
撃ち抜かれたにもかかわらず、臆することなくその手はホルダーへたどり着く。
−残酷なほどに温度変わらない双眼が、薄く俺を見つめている。
カチリと、安全装置が外れる音がした。
−無垢な少女の皮を被ったその容姿と瞳がひどく不釣り合いで。
｢−−んふふ｣
これは、俺が殺さねばならない。
他の輩に殺されるだなんてまっぴらごめんや。
なあ、なあ、頼むから、
｢俺に殺させてぇや｣
｢駄目やゾム撃つな！！｣
｢...鬱？｣
乾いた発砲音が場を占める。
血がせり上がってくる感覚に、わたしは堪らず目を閉じた。
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
