3､花を手折る ページ8
木を基本とした建造物はほとんどがひび割れ、中には中身が見えてしまっているものもある。
ちらほらと廃れた畑や枯れた井戸が散らばる民家“だった”もの。
地図上には無く、四方が複雑な森に囲まれており、簡易的な基地にはもってこい。
今日はまだ汚れ一つついていないナイフをくるくる回しながら、立て付けの悪い扉を開ける。
｢ロボロー｣
｢お前...明らかに視界に入っとるやろ！｣
｢あー悪い悪い。小さすぎて見えんかったわー｣
｢白っ々しい...｣
ロボロをからかって睨まれるのももはや挨拶になりつつある。
つい一年前くらいの自分にこれ見したらビックリするやろなぁ。
｢そんで、どーや。｣
｢そやなぁ。戦況は悪ないな。通信も迷彩ドローンも切れとらんし...｣
｢なんやつまらん。ひと暴れしたかったんやけどなー｣
｢するのはええけど、毎回毎回通信機壊すのは堪忍してや...高いんやからなアレ｣
聞こえんなー身長差の問題で声届かへんわー
無視して地図上に散らばる赤と緑の丸点を眺める。
兵士ひとりひとりにGPSがついてるわけやないから人数はわからんけど、まあ優勢やろ。
しかし、グル氏が急におっ始めるって言ったのは正直ビビった。
傍から見ればそれらしい理由にも思えるが、こじつけた本人である俺からすればあちらさんが哀れで仕方ない。
手は抜かんけど。
｢...ん？ロボロ、この赤点、｣
｢？...これ、ほんまに人間か？｣
この森、一応複雑なはずやねんけどな。
メチャクチャ早いな
−−ていうか、こっち来てないか？
｢っ、ロボロ伏せろ！！！｣
お世辞にも丈夫とは言えない小屋が粉砕される。
無理やり伏せさせたロボロの頭と俺の頭の上を通ったのは、華奢な生足。
アッチの兵士でこんな軍服とか...心当たりはひとつある。
｢シャオロン！！！外出ろ！！！南東や！！！｣
｢ぐぇっ｣
ロボロの襟首を引っつかみ、急ぎ足で外へ転がり出る。
相当大声だったからか、インカムを抑えながら出てきたシャオロンを遠目に確認すると、ソッチの方向へロボロを思い切り放り投げた。
｢ちょおおおおおおおお｣
振り向きざまにナイフを払い出す。
すると、しばらく聞いていなかった金属音が響いた。
まあ、しばらくの理由を説明すれば、今の一振りでだいたい静かになるからなあ。
今はどうでもええか。
｢ええの使っとるなぁ自分｣
返答は無い。
砂埃が晴れて真っ先に見えた顔は、やはり想像していたとおりの顔付きをしていた。
｢な、花喰いチャン｣
ああ、笑みが止まらない！
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
