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｢…なにかしら。｣
｢先輩には敬語を使え、って習わんかったか？｣
｢敬語とは、敬い尊ぶ相手に使うものだときいたわ。｣
｢ハッ！お粗末なあっさい知識やのう！お里が知れますねぇ！｣
ピリピリ、わたしにもわかる、あまりよくない空気。
隣にたたずむショッピに目をやっても、視線が交わされることはついぞ無かった。
｢フン、気色悪い。グルッペンも悪趣味やなあ！お前に何ができんねん。｣
｢出自もよう分からんし、変なモン食うとるし？｣
｢か弱くて細っこくて、しかも女！前のとこでも散々ええ思いさせてきたんやろ？言うてみ？｣
｢…ちょっと、コネシマさん、｣
｢お前は黙っとけ。｣
ーーこいつ、こんなに喋れたのね。
散々好き勝手に言われているけど、別にどうとも思わない。このくらい慣れっこだわ。
｢結局、なにが言いたいの。｣
｢…表出ろや。花喰い。｣
｢……その呼び名、きらいなの。控えてくれる？｣
鈍い音が食堂に響く。それに気付いて駆け寄ってくるシャオロンも今は目に入らない。
亀裂の入ったテーブル。何度も何度も拭おうとして、それでもついてまわる侮蔑の呼び名。わたしが異端であることをーーもう飽き飽きするくらい、つきつけてくる。
｢力ずくでしてみろや。｣
きらいだわ。
わたしを否定するなにもかもが。
ーー
なぜだかあの一件以来、Aさんとまともに会話ができなくなっていた。
遠目に見るシャオさんとAさんは、あの書記長室での空気感が嘘のように打ち解けていて、それは俺にとって喜ぶべきことのはずだ。1人で前線に立って、ボロボロになって、生きているか死んでいるか分からないくらいの大怪我をすることだってある。
いつかこの人はーー俺の預かり知らぬところで死んでしまうんじゃないか。
そんな冷え冷えとした思いを何度したか。
この国ではそんな思いをしなくて済む。
それはこの上ない幸福のはずだ。だというのに。
貴女が俺以外の人間に興味を示すのが妬ましい。
貴女が今までできなかったことができるようになるのが憎たらしい。
貴女が外の世界と触れ合うのが恐ろしい。
だってあなたは、今までずっとぼく1人のものだった。
Aさんが、外の世界との触れ合いを諦めてしまうくらい打ちのめされて、願わくばまた俺の元に戻ってきてくれれば、と。
見ないふりをしていた醜い感情がどろどろと溢れて止まらない。
わざと地雷を踏んだ先輩をたしなめることはできなかった。
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
