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｢正直ね。｣
｢ああ、ゴメンな。こういうとこやんな、俺が不人気なのって…。｣
とりとめもなくぶつぶつ呟いている後半の言葉はよく聞こえなかったけれど、どうやら謝罪されたらしい。
｢ほめてるのよ。わたし、正直なひとって好き。｣
嘘偽りない言葉。オレンジを蜜に浸したみたいな、あまいひとみがまたたいて星が散る。鬱やグルッペンとはまた違う魅力がある虹彩が素敵。
｢…ごめんなぁ、俺、Aちゃんのこと勘違いしてたかもしれへん。｣
｢どんな風に？｣
｢よわよわサークルクラッシャー。｣
｢よわ…？｣
うん、そう。
弧を描いて上がる口角はみていて不思議と心があったかくなる気がする。よわよわ…なんとかはよく分からないけど。
そういえばわたし、部屋を出てからこの人の姿、ちゃんと見ようともしてなかった。思っていたより楽しそうに笑うし、垂れた目尻はすごく茶目っ気がある。
前の国の兵士、あるいはショッピを、こんなふうにきちんと見たことがあったかしら…？
｢A。｣
｢え？｣
｢呼びすてでいいよ、せんぱい。｣
｢んふふ、オッケー！俺のこともシャオちゃんって呼んでや、相棒！｣
胸にくすぶるモヤモヤを見ないふりして、歩みを少し早くした。
＊＊＊
例えば、思ったより他人からの感情に敏感だったりとか。弱っちそうだと思った細腕に数え切れない古傷があったりだとか。短く切られた亜麻色の毛先はよく見れば揃っていないから、自分で切らざるを得なかったのだろうか、とか。
軽んじていなかったかと聞かれれば、素直に頷くことはきっと嘘になる。
『ほめてるのよ。わたし、正直なひとって好き。』
ただの小娘だと侮っていたが、その眼光は場数を踏んだ、れっきとした軍人だ。
笑わないのではなく、笑えないのではないだろうか。
出自をくわしく聞くことはしなかったが、この国に集まり、幹部にまで上り詰める人間は決まってろくな幼少期を過ごしていない。
声色は柔らかででも頬の動きはぎこちない。感情をまるっと落としてきてしまったらしかった。
拾ってきてやりたい、と思う。
足りない部分を拾ってきて、見つからないところは補ってやりたい。
｢んふふ、オッケー！俺のこともシャオちゃんって呼んでや、相棒！｣
初めての後輩をもって浮かれてんなっちゅーのは自分でもよぉく分かっとるから、みなまで言うな、いいな？
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
