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それからしばらく。
ある国の総統であるGruppen Führer氏は、“兵器”を飼っている国へ頻繁に足を運んだ。
しかしながら、彼女は相当な自由人らしく、総統閣下が自由に出歩ける範囲にいたことは初めましての一度きりであった。
待てども探せども、例の少女の影すら見えない。出迎えてくれるのは、まずい紅茶とつまらない世間話のみ。
このソファに座るのも6回目になる。
今日もなんの収穫もなく、訪問終了まで新しい兵器に思いを馳せるものだと思っていた。
｢Hallo、グルッペン｣
ひょっこりと天井に空いた穴から顔を覗かせたのは、まるい瞳をぱちぱちとさせた彼女であった。
｢お、お前...！総統閣下になんという口聞きを...！無礼にもほどがっ｣
｢お気になさらないでください、ミスタ。Hallo、A。降りてきなさい、話をしよう。｣
客人の身分で申し訳ないが、しばらく席を外していただきたい。
有無を言わさない空気で応接間を支配するのなんて、この男にとっては朝飯前。
Aをきつく睨み、総統に貼り付けた笑顔で一礼すると、失礼、一言残し、扉は閉められた。
｢あれ、今日は鬱はいないのね。｣
｢あぁ。あれでも彼は忙しい身でね。｣
下半身が。とは言わない。
実年齢はわからないが、彼女の見た目は未成年だ。
｢君の生まれはどこなんだ？私と近いのかとも考えたんだが、瞳の色が違うからな｣
｢知らない。グルッペンの目は血みたいできれいね｣
｢そうか？この目をそんな風に言うのはAと同胞達だけだな。｣
｢ふぅん。どんな人たちなの？｣
｢そうだな...馬鹿だが根はいい奴らだ。根はな。｣
足をぷらぷらばたつかせながら、いかにも興味が無さそうな相槌をうっているが、きちんと返事を返すあたり全く興味がないわけではないのだろう。
話せば話すほど、愛想が全くないこと以外は普通の少女と相違ないように思う。
総統閣下はふとまばたきをする。
次に開けた瞳はよそ行きの柔らかさはなく、まるで肉に飢えた狼のような鋭さを孕んでいた。
｢Aは戦場は好きか？｣
試すように、綺麗に獰猛に笑う。
それに怖じ気立つこともなく、当たり前のように答えた。
｢好きよ。わたしの意味はそこにある。｣
笑うこともなく、悲しむこともなく、ただ述べる。
マゼンタカラーのまるい瞳は、一切揺らがない。
見晴らしのいい窓から漏れる光は、薄い色素の金髪を透かす。
その様子はまるで、ひとつの宗教画のように思えた。
欲しい
頭に残ったのは、ただそれだけだ。
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
