1､野花を見つけた ページ1
前を歩くお偉いさんの話を聞きながら、城内を練り歩く。
ほとんどが自慢話や武勇伝で...あぁ、もうほらグルちゃんが飽きてしもうとるやん。
ただ聞いてもらいたいだけのようで、こちらの白けた様子には目もくれない。
一応他国のお偉いさんやからって、適当に相槌とか質問とかしてる俺は褒められてもいい。
こんなハゲに媚び売る暇あんなら、バーで女の子と会話に花を咲かせた方が有意義だ。
まぁ、そこはじゃんけんで負けたからしゃーないんやけど。
そんなこんなで歩いていると、通路と通路に挟まれるようにしてできた、小さな庭園へとたどり着く。
特筆すべきところもない、どこにでもあるようなこじんまりとした庭。
そんななんの魅力もない庭に思わず目を引き付けられた原因は、中央で花を編んでいる、小さな体躯に似合わない軍服を着た少女に他ならなかった。
少女だと分かったのは、決して髪が長かったから、とかではない。
むしろ、少女にしてはかなり短めに見える。
他のかっちりとした軍服と違って、惜しげも無く素足が晒せるような、ショートパンツだったからだ。
この距離で顔を見ることは不可能だが、その変わった軍服からそう結論づけた。
その少女に目を奪われたのは僕だけではないようで。
隣を歩いていたグルちゃんが1度｢失礼｣と断って、少女のもとへと向かう。
｢Hallo。｣
｢こんにちは。お外の人？｣
振り返った少女は、ひたすらにきれいな見目をしていた。だが、その顔にはめ込まれた2つの瞳は、いっそ清々しいほどに何も移さない。
｢そうだな。少しお茶を飲みにな。俺はグルッペン・フューラー。お嬢さんは？｣
｢そう。グルッペン。わたしはA。青いお兄さんは？｣
｢どーも。鬱先生言いますぅ。よろしゅう。｣
｢よろしゅう。これ、グルッペンと鬱にあげる。かがんで頂戴。｣
パサリ
頭にかけられたのは、色とりどりの花に飾られた冠だった。
となりを見ると、ゴッツイ金髪のニーチャンが花冠を頭にかけている。
まあ似合わんな。笑ったらどつかれた。
｢グルッペンと鬱は、虫は好き？｣
｢まぁ、紐状のものじゃなければ｣
｢紋白蝶とか好きやで、俺｣
｢そう｣
ふと、少女が空に人差し指をかざす。
ひらひらと、どこからか紋白蝶が飛んできて、導かれるように人差し指へとまる。
それから、ごく自然な動作で。
飲み込み、咀嚼した。
｢わたしもね、大好きよ｣
少女がはじめて浮かべた表情は、ひどく機械的な笑みだった。
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哀(プロフ) - 左原さん» 感想ありがとうございます！すごく嬉しいです...手汗がとまらない...これからも読んで頂けると幸いです！ (2018年6月2日 17時) (
レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
左原(プロフ) - 文章も設定も凄く素敵で大好きです... (2018年6月2日 11時) (レス) id: 28700181e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 朝霧さん» わーい！お気に召したようで嬉しいです！コメントすごくありがたいです...頑張りますね！ (2018年5月25日 23時) (レス) id: 037484ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - 待って、、、こーいうの好きなんやけど、、、ああ！申し遅れましたねェ、朝霧言いますー、ほんまこういうの好きですゥ！頑張ってください！ (2018年5月25日 12時) (レス) id: 3d4e8d6b36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2018年5月20日 19時
