ビリーブ 【 トラファルガー・ロー】

太陽の下で ページ10

その瞳のまま『素敵だね』と言われると誘われているような感覚になる。

太陽や、今見ている景色の事だと分かっているがローの心は大きく動揺する。


極上の笑顔で『ありがとう』と言われれば、もう下半身が無条件で熱くなる。

これ以上はマズイとローはクルー達に「落ちないよう見ていてやれ」と言って船内へ戻る。


「寝不足のせいだ、朝のせいだ」

ぶつぶつ言い訳を並べるロー。


まあ色々男の事情だ。


食堂で誰かが用意していてくれたであろうオニギリにかぶりつき一息ついていると

次にはシャチが鼻の下を伸ばして食堂に入ってきた。


「…変わった事でもあったか」

「え！？ 何もないっス！！」


こいつもやられたかと思うロー。

まさか、と思ってしばらくすると帽子を目深に被ったペンギンが食堂に来る。

ペンギンにしては珍しく、むすっとした顔が気になった。


「どうした」


ローの問いにふーっと息を吐いてペンギンはコーヒーを口にする。

物事をもったいぶって言うタイプではないのに…ローとシャチは顔を見合わせる。


「太陽ごときであんなに喜んでくれるなら俺は照る照る坊主を何百個でも作る」

「お、おう…」

「だがな、死ぬなら今みたいな太陽の下で死にたいって言うんだったら

俺はダンスパウダーを盗んででもあの子にもう太陽を見せたくない！！」

「…それくらい許してやれよ」

「ダメだ！！ 死ぬ事なんか考える歳じゃない！！」

「そういう世界にいたんだ。 しばらくは見守ってやれ」


どうしようもない歯痒さに、ダメだ、ダメだと首を振るペンギン。

Aはどんな表情をしてそんな事を言ったのだろう。


しーんと静まる食堂にベポが現れる。


「ニュースクーから新聞買ったよー…ってみんな暗ッ！！」

「…早く寄越せ」

「スミマセン…」


折りたたんである新聞を広げた所で全員が「ん？」と首を捻る。


「ベポ、Aちゃんは？」

「まだここに居たいって言うから置いて来たよ」

「おい！！」


あの運動音痴が海に落ちたら…！

ドフラミンゴの偵察があったら…！


何もかもが無駄の泡となってしまうのだ。

３人が大慌てで甲板に向かうのを見て

ぽつーんと食堂に残っているベポは呟く。


「命綱つけておいたから大丈夫なんだけどなー、ま、いっか、オニギリもーらい」


いつもより多くオニギリを食べて満足なベポだった。

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